忘れられていた古道「九重越」
2016/05/28
新ハイキング関西の山(1995年27号)掲載の特選コースガイドで「新九重越」として紹介されたコースを歩いてきました。新九重越のルートは「関西山越の古道(上)」(ナカニシヤ出版)を元に、現地調査や「河内国図絵」などの古文書から再検討され紹介されたものです。再び忘れられることのないように、しっかりとその魅力をお伝えしようと思います。
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春の長雨で足止めを食らう
今年の春は長雨。晴天の日が2日と続きませんでした。「九重越」はもっと早くに行きたかったのですが、延び延びとなってようやく実現したものです。。
特選コースガイドの山歩きは、昨年のフキガッポを手始めにして、9本を数えるようになりました。いずれのコースも執筆当時とほとんど変わらない風景や道筋に驚きの連続です。(生駒山系のコースを除く)
今回も特選コースガイド(以下、ガイドと言う)を片手に、紹介された見どころを丁寧にトレースしてきたつもりです。ガイドの現地調査から20年の歳月が流れています。地形の変化が気になるところ。
改訂版「新九重越」の必要性
ルートの状況からハイキング道としては推奨できませんが、古道歩きや一般的でない山歩きをしてみたい方には是非紹介したいルートであることは間違いありません。
そこで、今回の経験を元に若干ルートの見直しをしました。九重越の古道が再び忘れ去られることのないよう、当ブログがその一助になることを願っています。
ルート概況
九重越のルートとは、
加賀田-行者河原分岐-栃谷林道-栃谷登り口-P605付近-五ツ辻-五葉ノ谷辻-札ノ辻-千田橋-信太神社-子安地蔵尊-高野口駅
となります。
【動画あり】九重越古道「加賀田ー五ツ辻ー札の辻ー高野口町九重」 [山行記録] – ヤマレコ
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歩いたルートは、ヤマレコの山行記録をご参照ください。五ツ辻までのルートは、岩湧山のサブルートとしてハイキング道と言って差し支えないでしょう。
地理院地図にはルートの記載がありません。栃谷ルートをヤマレコで調べて、カスタムマップを作成しました。さらに、栃谷の登り口を見逃さないように、到着アラームも設定。万全の準備です。神納から五ツ辻までの2時間にロスは許されないからです。
ポイントはいくつかありますが、ルートの最大難所は「札ノ辻・千田橋」の区間です。ここの状況については、最新の情報を得られませんでした。ガイドの著者である柴田氏でさえ、調査以降は一度も歩いていないと言うことだったのです。
札ノ辻・千田橋間の状況について
今回のコースで最大のハイライトです。難所をいかにして通過するかが古道歩きの醍醐味。まず最初に動画でお伝えしたいと思います。
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuit
通過に1時間近く格闘しました。二度目はもう少し短縮可能だと思います。いつ再訪できるかは、全く不明ですが。。。しかし、ここはじっくり時間を費やす価値はありました。
改訂版「九重越」の新見どころ
神納行きバスは、土日祝8:00発に加えて9:00発も利用できます。日の長い初春から夏にかけては、9:00発でも十分でしょう。
この20年間でダイヤ変更があったかどうかは知りません。大きな変化は今年の4月1日からIC乗車券が利用できるようになったこと。しかも、JR各社のICカードが利用できます。何が言いたいかと言うと、モバイルSuicaで乗車できるということです。奈良交通バスなど他社のバス路線では利用できません。南海バスはエライ!
さすがに人気のダイトレ・ルートですね。辻のベンチでオニギリを食べていると、何人ものハイカーが通り過ぎました。しかし、ここから南へ直進する人は、見ていた限りで皆無。
五ツ辻から直進して阿弥陀山の西側を歩きましたが、「相互タクシー岩湧山植林地」という看板は見つかりませんでした。林道は全区間で簡易舗装されていて「へつりながら進む」ような道ではなくなっていたので、この20年で整備・拡幅されたのでしょう。
車止めゲートのある辻に着きましたが、全くなんの道標・案内プレートの類もありません。植林が眼下を覆い尽くして、和歌山県側の景色は見えそうにありません。
山と高原地図によると尾根道の鞍部を「風吹ノタワ」と呼ぶそうです。ここから尾根道を登り返したピークに四等三角点が設置されたのは平成24年のことでした。
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地図を見ていて大きく蛇行する林道を歩く気にはなりません。しかも、アスファルトの無機質な林道です。ためらわずヤブっぽい山道に突入しました。
踏み跡もしっかりしてるし、ヤブもかき分けるほどでもない。枝木が伸びて邪魔してるだけでした。しかし、この道を登りで使うのはオススメできません。無事にショートカットできたら、ほどなく札ノ辻に到着します。
千田橋から高野口町九重へ
札ノ辻-千田橋間を無事に通過できたなら、高野口の駅までルンルン気分で歩けます。ガイドで紹介されているのは、妙典寺・道路改修碑・嵯峨の滝・信太神社・子安地蔵尊・桜橋の順となっています。
見どころは今も変わらずですが、道路が拡幅整備されて紀ノ川と平行して走る京奈和自動車道が開通したことで、景観は大きく変わっていることと思います。
平成18年3月に完成しました。この下を走る京奈和自動車道は、高野口ICで橋本道路と紀北東道路で工期が異なりますが、前者が2007年8月で後者が2014年3月完成となっています。
小丘の公園で振り返ると紀ノ川の向こうに広がる雄大な景色を楽しめます。一週間前だったら、もっと違う風景だったと推測します。
時計を見ると5時を過ぎていました。ですが日没までは一時間以上余裕があります。やはりこのコースは日の長い季節がオススメです。桜の開花に巡り会えていたなら、最高の気分だったでしょう。
では、また。
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