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生駒の古道「古堤街道とその現状<前篇>」

      2015/09/04

昨年(2014.03)、生駒民俗会は生駒市内の古道や街道を紹介した「生駒の古道」(以下、本書という)を出版しました。古絵図や古文書、土地の古老の話などを基に現地調査を行ったもので、古道を通して生駒の歴史や文化を学ぶ一冊です。

生駒の古道

生駒の古道|生駒民俗会


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今回のテーマは古堤街道

生駒を越える大阪奈良間を結ぶ街道筋の中でも、生駒北方の比較的標高の低い地域を越える古堤街道は、古くから主要な交通路としての役割を果たしてきました。マイカー時代の到来とともに有料の阪奈道路となり、交通量の増大期に大いに貢献しました。

荒池はゴルフ場の中にある。
阪奈カントリー

阪奈道路が整備されたことで、大阪側の古堤街道は一変しました。荒池の西で宝山寺参詣道と分岐する南ルートはゴルフ場の中を横断しています。

ここが奈良側(生駒)の起点。
古堤街道起点
信貴生駒スカイラインの縁から突入

古道は南北に縦断する信貴生駒スカイラインが建設されて、完全に分断されてしまいました。

古堤街道の南ルートを歩く


上りと下りで車線分岐する阪奈道路(大阪側)

古堤街道は阪奈道路の車線が上り下りで分岐するあたりで、北ルートと南ルートに分かれていました。北ルートは「龍間-上田原-清滝街道と合流」、南ルートは「荒池-俵口-山崎-菜畑-椚峠-砂茶屋-暗越街道と合流」という道筋です。

いきなりのヤブ漕ぎ。
ヤブ
背丈ほどの雑草が行く手を阻む。

本書では大阪側からのルートが紹介されていますが、正直に言って歩く気のしないルートです。何か所か石碑や道標が残っているようですが、往時の面影はほとんど皆無と言っていいでしょう。北ルートを紹介する際に歩いてみたいと思っています。というワケで、今回は生駒の起点からの紹介ですが、いきなりヤブ漕ぎの洗礼を浴びました。

細い山道を登っていくと、、、
峠地蔵へ
高台に峠地蔵さんがおられます。

生駒山麓公園は生駒テック(ホンダ系列の遊園地)の跡地に整備された生駒市営の公園、周辺の開発で街道の風情は激変しています。

<新サイトご紹介>

Screenshot of juantonto.besaba.com

古堤街道の峠地蔵(生駒市俵口町) | 生駒の石仏

かつての古堤街道は「生駒山麓ハイキングコースA」として再整備されています。利用者は少ないようですが、簡易舗装された道が生駒市立俵口幼稚園まで続きます。



峠地蔵(Google+の投稿から)

山歩きはココまで、車道歩きはツライよ

本書で紹介されたポイントを写真で紹介しましょう。

尼ヶ辻の道標
尼ヶ辻
電信柱の横に立っています。

毘沙門天種子磨崖仏
磨崖仏
くりぬかれた場所は空っぽです。

ここは場所が分かりにくいです。かつては川沿いの道があったようですが、今は廃道になっていました。ただし、踏み跡はかすかに残っており、季節によってはトレースできるかもしれません。

上部の種子
種子
かすかに読み取れる程度。

薬師堂川を渡って住宅街を進みます。

生駒市最大の道標
道標

正面 右金毘羅大権現是ヨリ二丁
   二天山長命寺

右面 左ならいせ郡山道

背面 天保第七丙申年十一月吉日建立
   世話人大阪小西平右衛門小島弥兵衛

左面 施主大阪吉 小山屋

≪生駒の古道46頁より引用≫

さすがに大きな道標とあって、四面ともに解読されていました。本書より引用しましたが、本書もまた「生駒市石造遺物調査報告書」からの引用をしています。興味深いのはこれほど立派な道標を大阪の人が世話人となって建立したということですね。往時の隆盛が今日に伝わる石造遺物です。

今回はここまで。街歩きの石造物探しは神経を使います。あまりウロウロしていると「不審人物」と認定されてしまいます。できるだけ、入念な下調べをした上で歩きませんとね。その点でGoogle Mapは使えます。後半は本書でも取り上げられている俵口界隈を徘徊する予定です。


生駒石の生産地(俵口)をストビューで見つけたゾっと。

本書で取り上げられる見どころは、わかりにくい場所にあることが多い。それだけに見つける楽しさもあるわけですが、「神定松」もその一つです。そんなときに役に立つのが今昔マップ On the Webですよ。

昔の日本語は右から左へ読みます。
スコデン
今昔マップOn the Web(1922-1923)

役に立つはずの今昔マップで疑問がまた一つ増えた。「スコデン」ってなんだ?地名だと思うけど、最新のGoogle Mapにもこの地名を発見!


農業と関係ある地名らしい。

謎のスコデンを究明するためにも、俵口近辺をうろついてきます。後編ご期待ください。

では、また。

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