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古墳三題と送迎山城

      2016/05/28

大阪と奈良の府県境(正確には大阪府柏原市・奈良県香芝市~北葛城郡王寺町の境界線)を形成する東西の山塊(明神山)は、北に大和川渓谷、南に流れる原川(大和川支流)に挟まれた標高300mに満たない低山地帯ながら、快適な尾根道歩きと見事な景観を楽しめるエリアです。

大和川

尾根道から大和川を見下ろす

2009年12月に河内堅上駅から見た明神山(273.7m)の美しい山容に惹かれ、これまでに何度か足を踏み入れています。周辺における見所の多さは、二上山のソレと共通するものがあります。しかし、このエリアを生駒山系に入れるべきか、葛城・二上山系に入れるべきかで悩みます。

明神山

河内堅上駅から見た明神山

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迷路のような明神山の頂上部

明神山へのハイキングルートはいくつかありますが、一般的なルートは王寺町側からとなっており、入り口から山頂まで舗装路の広い道で迷いません。


山頂には水神社が祀られており、傍らの説明板によるとここがかつての旗振り場であることが分かります。ここを経由して大阪堂島米相場の情報が大和高田の取引所に伝えられていました。天気の良い日には明石海峡まで見えるという山頂部のパノラマはまさに絶景です。

円形の展望デッキ

円形の展望デッキから信貴山と生駒山を眺める

明神山はいくつかのピークから形成されており、水神社のある山頂に設置された三等三角点の点名は「西山」とされています。もっとも三角点の点名は実際の山名とは一致しないことが多い。

三等三角点

三等三角点はコンクリート製の蓋の下

山頂の南側の香芝市からも舗装された林道が伸びており、そこから南峰へのルートが続いています。一帯は曲輪、土塁、堀切などの遺構が残る送迎(ひるめ)山城の築城跡です。送迎山城は室町期に築城された山城で、築城者は片岡氏と伝えられています。

城跡

迷路のような城跡の遺構

※見学の際は道迷いに注意してください。

古墳三題

それでは柏原市・王寺町・香芝市からそれぞれ古墳を一つ紹介しましょう。最初は柏原市から。

松岳山古墳

所在地:柏原市国分市場

国指定史跡柏原市国分市場の国分神社北側にある前方後円墳。1954年に大阪府教育委員会と京都大学により測量と石棺周辺の発掘調査が行われた。見学の際は、国分神社で許可を得ること。

Posted by ふぁんトント on 2015年6月8日

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資料


Boxのアカウントがなくてもダウンロードできます。

「松岳山」と書いて「まつおかやま」と読みます。国の史跡に指定されており、見学を希望する方は、国分神社の社務所で記帳の上、入山許可を得てください。詳しくは神社で頂いた資料をお読みください。

畠田古墳

所在地:北葛城郡王寺町明神

畠田古墳

奈良県指定史跡|畠田古墳

ここは昨年下山ルートを間違って、たまたま訪問することが出来ました。住宅街が隣接していて真上には送電線が通っていますが、見学は自由にできます。

P1170938

高さ4mの円墳で南に開口する横穴式石室を見学できます。出土物から7世紀初頭に築造されたと推測されており、馬蹄形の窪地中央に位置しているのが珍しい。風水の思想が影響していると指摘されています。どうです? 必見でしょ。

平野古墳郡

所在地:香芝市平野

1号墳

フェンスに囲まれた1号墳

残念ながら古墳周囲はフェンスに囲まれていて、立ち入ることはできません。現在残る古墳は写真の1号墳と2号墳、国指定史跡の平野塚穴山古墳で正楽寺の西側に位置します。

古墳

7世紀中頃の築造と考えられています。

ここは古墳よりも正楽寺の線刻阿弥陀如来坐像が必見です。香芝市指定文化財として境内脇の祠に祀られています。

明神山へのルート

明神山へのアプローチは尾根道歩きがなんといってもオススメです。関屋地蔵尊までのルートは幾つかありますが、そこから先は鉄塔の巡視路も兼ねており、よく整備された山道で迷うことはありません。低山ながらアップダウンを繰り返す尾根道の縦走を楽しめます。

柏原ルート入り口

柏原ルート入り口

関屋ルート①

関屋ルート①(鉄塔巡視路)

関屋ルート②

関屋ルート②(柏原墓地から林道)

低山なので冬場の方が何かと歩きやすいですが、落ち葉で滑りやすく踏み跡の判別が難しいこともあります。それでも古道歩きにチャレンジしたい方は、聖徳太子ゆかりの送迎(ひるめ)峠からのルートがありますね。

送迎峠

送迎峠の旧道(出口付近が曖昧)

葛城二十八宿行所のルートなので歩いた方も多いと思いますが、ふぁんトントはまだ歩いていません。そのうちトライすると思いますが、やっぱり冬ですかね。

では、また。

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