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生駒の古道「庄兵ヱ道」現況レポート

投稿日:2023年4月24日 更新日:

2023年4月16日、生駒ふるさとミュージアムにおいて、生駒民俗会の総会を開催されました。8月を除く毎月第三日曜日に月次例会を実施します。会員以外の方も「一日会員(会費500円)」として参加可能です。詳細について、生駒市広報などで発表されるとのこと。興味のある方は、奮ってご参加ください。

生駒民俗会総会資料

筆者は、令和4年から正式に会員となり、末席を温める身となっています。都合により、参加できなかった例会もあり、大変残念、無念でありました。今年度は皆勤を目指して活動して参ります。

 

下に続く。。。

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会員有志により古道や遺跡などの現況確認や補修を実施

「生駒の古道」を手に山歩き

「新しいモノほど古くなる」

昨年(2022年)、「生駒の古道」(第二版)を再販され、売れ行きは好調とのこと。筆者も第二版を手中にし、改訂された「1)宝山寺正面参道」を歩いてきました。古いモノに新しい発見をする一方で、変わりゆく風景に時の流れを感じます。

「庄兵ヱ道」の現況調査

随時、情報を更新しています。

マイマップ:大きな地図に開く

「庄兵ヱ道」と周辺の古道ルートについては、毎年、定期的に整備なさってる方々がおられます。有名なあの方や、チェーンソーを武器に巨大倒木を玉切りなさってるこの方。渡河ポイントに手製の橋を設置なさっています。生駒民俗会の会員である筆者は、只々、それらを眺めて、ありがたく通行するだけの身。

「アカンやん!」

と言うワケで、「庄兵ヱ道」の現況確認を行いました。草刈りと倒木処理は、その道のプロにお任せることとし、筆者の取り組みとして「道標起こし」の活動を進めたいと思っています。全体の状況は、上掲のマイマップを参照して頂くとして、ポイントをいくつかまとめてみました。

鳴川の石造道標(10本)を保守セヨ

起点の道標1(生駒市側、唯一の残存道標)

「庄兵ヱ道」の道標は11本現存しており、起点の道標を除いて、すべて鳴川(生駒郡平群町)に存在しています。2)鬼取町にかつて存在した道標は、道路の拡幅工事により失われており、その記録や記憶もやがて消えゆくことでしょう。鳴川の大部分は「開発」や「道路整備」と無縁であったため、人為的に失われることはありませんでした。その一方で、厳しい自然環境に晒されており、倒木などの下敷きや土砂流出により、ヤブの彼方へ埋没する運命かもしれません。

※道標の通番は、宝山寺を起点に現存するものに付しています。

道標3

撮影日:2017年3月 マップ上の通番は消失分を含みます

2017年にストリートビューとして撮影、グーグル・マップに公開する以前から倒れたままの状態です。地盤が脆く倒れやすいと推測。深く掘って周囲を石などで固める必要がありますね。

道標4

撮影日:2017年3月 マップ上の通番は消失分を含みます

ストリートビューに撮影しておこうと決めるキッカケとなった道標です。本来の道筋が失われて、長らく「未発見」のまま幻の道標とされていました。再発見された際に、すでに傾いた状態だったのです。過酷な自然環境に耐えて、通行人を待ちわびる日々だったのでしょう。筆者も2013年から足掛け4年の月日を費やして、ようやく対面することができました。

傾きながらもしっかり立つ道標4

背後の土砂を取り除けば、比較的容易に「直立」させることができると思います。しかし、土砂を取り除くことで、地盤が緩む可能性も。。。難しいな。

道標6

撮影日:2017年5月 マップ上の通番は消失分を含みます

「すく 元山上」と刻まれた印象的な道標。2019年10月16日、台風の影響によりうつ伏せ状態で倒れていました。2017年に撮影した画像では、しっかり立っていますね。

うつ伏せに倒れた状態(2019年10月13日撮影)

台風の余波は今なお続いています。根腐れした倒木が毎年発生する。

木に寄りかかる道標(2023年4月23日撮影)

あのような状態から、どうやって立て直したのかさえ覚えていません。石造物は意外に重たいので、必死で持ち上げたに違いありません。それ以来、後方の木にもたれた状態です。根元でポッキリと折れているのかもです。

道標7

真上から撮影した道標(2023年4月23日撮影)

3)柴田氏のガイド記事に言及されていない道標です。そのために、別系統と考えていましたが、背面に刻まれた記銘などにより、同時期の道標と考えてよいでしょう。かつて山側に倒れていた時期もありますが、2023年4月現在、田んぼのフチへ隠すように寝転がっています。笹の葉っぱが覆いかぶさると、全く確認することができません。なんとか、引き揚げだけでも実行したいです。

倒れた場所が移動した道標(2019年10月20日撮影)

なぜ移動したのか不明です。

  • 追記 2024.1.24

  • ここで紹介した道標3,4,7は、その後廣津副会長を中心とした数名の生駒民俗会会員の尽力により、修復・保全されました。追加調査を行いますので、ご期待ください。

    関連記事及びリンク

    ヤマレコ(2023年4月11日)

     

    YAMAP(2023年4月23日)

     

    今回の現況確認は、2023年4月11日、23日に行いました。ヤマレコとYAMAPの両方に記録を公開していますので、詳しい状況など、興味のある方は、上記のリンクからご笑覧ください。コメントも大歓迎します。

    鳴川山・千光寺

    撮影日:2017年5月 千光寺山門下

    千光寺前に立つ道標に「大阪 三郷」と刻まれています。三郷とは「北組、南組、天満組」(江戸期の大阪市中で奉行所管轄エリア)を示す総称です。道標のほとんどは、大阪商人を中心とした講中による寄進だったのです。現在では、千光寺回峰修行の皆さんを含む多くの方々が、「庄兵ヱ道」の道整備をなさっています。

    大阪 三郷(北組、南組、天満組の総称)


    先人が願いを込めて寄進した道標を、いつまでも大切にし、後世に伝えていきたいと願います。「生駒の古道」に親しむ方々は、今後も増え続けることでしょう。

    では、また。

     


    注釈;Notes

    1. 1)宝山寺正面参道:初版からルートの一部を修正しています。写真にヒントあり。
    2. 2)鬼取町にかつて存在した道標:平成6年の現地調査で、今木会長により消失を確認されました。
    3. 3)柴田氏のガイド記事:新ハイキング関西29号(平成8年刊行)特選コースガイド「庄兵衛道」

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