意外とあっさり完了した「立石越本道(旧道)の探索」
2022/09/23
2016年2月中旬の下見から始めた「立石越本道(旧道)の探索」が無事に終了しました。谷筋では地形が変容して歩きにくい場所があるものの、古道の雰囲気を今に伝える道跡は残っています。
2016.02.28のヤマレコから
ヤマレコの表記では意外とあっさりとヤブ道を通り抜けたり、古道の道跡を発見したりしていますが、現実はなかなかそうもいきません。前回の第二次調査の反省を元に、現ハイキング道から下りでアプローチしてようやく通り抜けに成功しました。
立石越本道第二次調査マップ(前回の再掲)
初回は下見のみ、次に登ってみたものの課題が残っていた。
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「立石越本道(旧道)」第三次調査報告
第二次調査で合流点としていた地点
結論から言うと、上の写真にある地点は立石越本道(旧道)〔以後、本道と言う〕との合流地点ではありませんでした。恐らく標点(P287)付近への杣道、あるいはかつての畑道だったと思われます。
第三次調査で分かったこと
立石越本道第三次調査マップ
(2016.02.25歩く)
今回は現在の登り口からアプローチして、前回の調査で本道との分岐点であると推測した地点から天龍寺を目指しました。
地形図にある標点P287付近から踏み跡は不明瞭となり、特に標点を示すマーキングや標識のようなものはありませんでした。
南の方向へ急下降しながら進むと前回の調査で「堀切」とした場所を通過しましたが、地形図からもこの地点は谷筋が南西方向に伸びているので、自然地形の可能性が高いでしょう。少なくとも「高安城を探る会」が示した堀切とは異なる場所です。
第三次調査のマイマップに示したオレンジ色の線が尾根筋で、ハイキング道から南西に伸びてきています。この尾根に沿う形で踏み跡が確認できます。服部川下流部かもしくは「陰陽石」(360°パノラマ- Googleマップ)のポイントから北へ約100mの地点にある横穴式の古墳に通じているかもしれません。
標点(P287)から尾根に合流した地点に戻り、いよいよ本道側へアプローチします。低い石垣の地点から猛烈な笹ヤブとなりどうしても突破できません。仕方なく南側の崖状斜面からトラバースすることになりました。
前回危ない思いをした地点よりもさらに上部に、人が一人なんとか歩けるだけの踏み跡がありました。前方の視界に飛び込んできたのは、尾根を真横に切り通した古道そのものです。これが追い求めていた立石越本道の姿でした。
本道が尾根を横断して回り込む
ここまで2016.02.25撮影
この瞬間がいつもながら「ワクワクドキドキ」して心躍ります。それまでの苦労も吹き飛んでしまいますね。ここからハイキング道との合流地点まで、ヤブ漕ぎを要する区間がありますが、これまでと違い道幅が広いし路盤もしっかりしています。
ハイキング道に古道の面影を追う
一回の下見、そして登りと下り一回ずつのトライで合計三度の調査を経て2016.02.28のヤマレコに結実しました。分かったことは「高安城を探る会」の資料集にあった手書きの地図はかなり正確に記録されているということです。
両者を比較して、いくつかポイントを示しました。まず第一に資料集の地図にある「堀切」とは、古道が尾根道(地形図の緑線)を横切るポイントで、GPSログの軌跡とも一致します。(青線①)
この堀切が古代高安城のモノかどうかは分かりません。しかし、標点P287付近で見た谷筋状の地形とは違い、人為的に掘削されていることは明らかです。
手水石のポイントは曲輪跡?(ポイント②を過ぎたあたり)
360°パノラマ – Googleマップ
合流部からゆっくり登ってみると現在ハイキング道として使われている部分でも違った様子が見えてきました。
青線③のポイント(楓のコバ先端から下を見る)
上記の地点はいずれも堀切か砦跡のように見える場所です。特に東屋風の休憩所がある付近は平坦部が広がっていて、何かの施設があってもおかしくない。「高安城を探る会」の資料集でもそのことに言及されておられます。
立石越本道の復活を望む
2016.02.28のヤマレコで歩いた際に、陰陽石の手前で山菜採りのハイカーと出会いました。このルートで人と会うのはこれが初めてです。しばらく立ち話をしていると、登り口にある天龍寺は無住となって久しいようです。かつては老女が一人住んでおられたとか。
ストリートビューで最奥の滝までご覧いただけるようになりました。
天龍寺への途中にある陰陽石、この角度から見ると確かにソレと分かります。
まさに生と死が隣り合わせになっていて、実に面白い。立石越本道ルートがこのまま埋没してしまうのはもったいない過ぎる。現在のルートよりもずっと魅力的な山歩きが楽しめるでしょう。ぜひとも後世に伝えていきたいと思います。
では、また。
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