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生駒の古道「庄兵ヱ道」-宝山寺から千光寺への古道

      2024/01/24

blog title 20170524

平成26年に「生駒民俗会」より刊行された「生駒の古道-生駒市古道調査-」(以下、「本書」と言う)の記述によると、「庄兵ヱ道」とは以下のような成り立ちだそうです。

「むかし鬼取村の庄兵ヱが宝山寺の湛海さんから頼まれて、荒れ果てていた宝山寺から鳴川の千光寺までの道を整備した」

※本書p125より引用

このような言い伝えが、「小倉寺、鬼取、西畑、藤尾、大門」の旧村に残っているとのこと。

多数の画像を埋め込み表示していますので、通信環境の良い場所で閲覧してください

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「庄兵ヱ道」に賭けた青春を振り返る

生駒の古道

「はぁ?」「何をイマサラ」と思われたでしょうか。当ブログの原点は「庄兵ヱ道」の探索にあり。遺された道標の現存を確認することに情熱を費やしてきました。「庄兵ヱ道」に関する資料は多数存在します。上掲の「本書」に加えて、「古道に残る信仰の道 宝山寺」(昭和62年)と「庄兵衛道」(新ハイキング関西の山・第29号/平成8年)はバイブル的存在でした。

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『古道に残る信仰の道・宝山寺』付2庄兵ェ道 より抜粋。

「庄兵衛道」から「庄兵ヱ道」への変遷

探索を開始した当時は、柴田昭彦氏の著書である「庄兵衛道」のコースガイドを専ら参照していました。柴田氏の探索からすでに十数年の年月が経ち、かつては通れた箇所が竹藪化して通れなかったり、逆に整備されて通行可能だったこともありました。柴田氏のガイドは豊富な資料に裏打ちされて奥が深く、道筋の描写も克明でとても分かり易い。現在に至るも十分通用する「コースガイド」であることは間違いありません。

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新ハイキング関西の山・第29号より抜粋。

柴田氏へのリスペクトから当初は「庄兵衛道」として紹介していましたが、その後「本書」が刊行されるに至り、「庄兵ヱ道」の表記に統一することといたしました。しかし、本書の内容には不満が残ります。これまでの調査活動や道筋の確認と整備に、大変なご苦労があったことと推察いたしますが。過去の文献と比べて、山中の道標について紹介がほとんどなされていません。安全面を考えてのことと存じますが、これでは後世に伝えるべき先人の努力に報いることは叶いませぬ。

本書p127に紹介されている道標②は、鶴林寺門前の道標であり、「庄兵ヱ道」とは異なる系統であることを指摘しておきます。

「庄兵ヱ道」道標(石造)マップ

マイマップ(庄兵ヱ道)


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Google Mapsの機能である、「マイマップ」を使って最新の軌跡ログと石造道標の場所を記録しました。「新しいモノほど古くなる」を実感してください。当方が過去に歩いたルートは、一部が使えなくなりました。しかし、山中に残された道標は、昔と変わらず私たち旅人を見守っています。古いログは今後置き換えるようにいたします。

山中に残る道標をストリートビューでご紹介

昨年、シータ(=Ricoh THETA SC)を購入して、手軽にどこでも撮影できるようになりました。もちろん、撮影と公開に許可が必要な場合、事前に確認を取っています。北の宝山寺から千光寺までの山中に存在する道標を撮影していますので、順を追って見ていきましょう。

道標の通番は、マイマップに準じています

  • 道標4
  • Googleマップ – ストリートビュー

    道標4は山中で最初に遭遇します。神田川をどこで渡るかがポイントで、柴田氏も大変苦労なされて、大きく藤尾町側まで迂回なさいました。現在では、生駒民俗会の渡辺さんを中心に、竹藪の倒竹を整備されたおかげで難なく渡れるようになりました。但し、渡河直後に桜の大木が倒れて道を塞いでいます。ここを通過の際は気を付けてください。

    Screenshot of yamap.co.jp

    鳴川の棚田~庄兵ェ道~西畑町・うめの里(水車) |YAMAP 登山・アウトドアの新定番

    ヤマレコにも投稿しています。
    https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6391106.html

  • 道標5
  • Googleマップ – ストリートビュー

    道標4から道標5へはよく踏まれた山腹道となり、途中木々の間から藤尾水源地の溜池をチラチラと見ながら歩きます。左手から上がって来る明瞭な道と合流する地点が、道標5が倒れている場所となります。

  • 道標6
  • Googleマップ – ストリートビュー

    道標5から道標6への道もよく踏まれて、道幅も広く歩きやすい区間です。しかし、先年の大雨で、倒木が竹藪を押し倒して通行が困難となっていました。その区間を整備なさった方が、旧道を塞いでいた竹藪を掃い道筋を明瞭になさいました。その結果、これまで発見を困難にしていた道標6へと導いてくださいました。これまでは崖状の斜面を滑り落ちるようにして、谷底まで下っていました。道標6の前を通過するルートは、こうした危険もなく旧道らしい風情をよく伝えています。また、柴田氏もこの区間をお歩きになっているはずで、これまで歩いていた崖の迂回路との矛盾が解決いたしました。

    道標6の情報をYAMAPを通じてお寄せいただいたjack77bettyさんに深く感謝するとともに、道を整備なさった方に一言御礼申し上げます。「ありがとうございました」

  • 道標7
  • Googleマップ – ストリートビュー

    道標6から道標7へは、緩やかな登りのルートとなります。途中で、大木が倒れていますが、左右から迂回が可能です。尾根に出る直前は勾配がキツクなりますけれど、ここは一気に駆け上がりましょう。昔の修験者のように。

    途中の倒木は、この冬に取り除く作業を致す所存です。

  • 道標8
  • Googleマップ – ストリートビュー

    道標7から道標8へは、一転して下り道となり、深堀された旧道と林間の踏み跡を追う新道に分かれます。下りでは旧道の方が分かり易いですが、イノシシが道を耕して歩きにくいかも知れません。足元に注意なさってください。道標8の立つ場所は、鳴川旧墓地との分岐点となっており、「すぐ元山上」と刻まれた文字が印象的です。「すぐ」とは、、、この説明はもういいですよね。知りたい方は、当方のYAMAP活動日記をご一読になってください。

    「庄兵ヱ道」の最新情報をYAMAP(ヤマップ)で発信中!

    今回の記事は、YAMAPで「道標6」発見の一報をお知らせいただいたことがキッカケでした。ただいま、古くなった過去記事をリライトする準備中です。記事を更新するためには、夏場でも意を決して歩かねばならず、歩けば必ずYAMAPの活動日記で報告いたします。

  • 千光寺・山門前の道標
  • Googleマップ – ストリートビュー

    資料によって道標の通番が変わります。それは同時に先人が苦労なされた変遷でもありました。いずれ、このブログ記事も古くなる時が訪れます。できるだけ陳腐化しないように、長きにわたって参考資料とされるような内容にしたいと考えます。

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    2024年1月24日現在、YAMAP(ヤマップ)での投稿を終了しました。YAMAPでのみ公開していた記録に関しても、ヤマレコに転載しました。よろしくお願いいたします。

    では、また。

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