Google Mapsのマイマップで高安山越えの古道を記録してみる
2018/12/10
高安城を探る会(1978年に倉庫址礎石群の発見で知られる)の資料によると八尾市域から高安山を越えて奈良県に至る12の古道が紹介されています。北から順に追うと、「楽音寺道」「十三越」「おと越」「おと越南谷道」「立石越」「しろ道」「神光寺道」「おお道」「鉢伏道」「信貴越」「恩智道」「神宮寺道」となっています。
Google Mapsマイマップ(随時情報を追加していきます)
高安山越十二道マップ
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鉢伏道を歩く
高安城と烽基本資料集(平成十三年発行)
地図に説明が手書きされている
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高安山は自宅近くからでも山頂付近のレーダー(気象観測所)がよく見えています。自転車で麓まで行ける手軽な山でありながら、「古道歩き」の対象とは見ていませんでした。
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高安城を探る会の「高安城と烽基本資料集」(以下、資料集と言う)には12ある高安山越えの古道の内、「おと越南谷道」、「しろ道」、「鉢伏道」の三本は地形図に記載されていないとあります。
地理院地図
かつては人気のハイキング道であったらしい。
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直近の地理院地図では「おと越南谷道」の記載が復活していますが、途中の果樹園が放棄地となり荒廃し、ヤブが濃くて通行困難になっています。一方の「しろ道」と「鉢伏道」は、問題なく歩ける道だと云うことでした。
鉢伏道にチャレンジしました。
生駒山・神津嶽・大原山・飯盛山・高安山・信貴山・高尾山「高安山の古道「鉢伏道(鉢伏古墳)~おおみちHC」」 | 無料登山地図のYAMAP
鉢伏道をケーブル線南側にある谷筋道(地形図に記載されている)と勘違いしていたために、尾根道への取り付き点で誤った方向に進んでいます。すぐに気が付いてルートを修正しました。ホントに味わいのある良い道でしたよ。
耕作放棄地のドンツキまで来たら南側(線路とは反対側)から回り込めば、急斜面でも問題なく尾根道に取り付けます。
畑のドンツキ付近
線路側に迂回すると滑りやすく狭い。
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無事に尾根道にたどり着くと、途中に横穴式の古墳があり城址の痕跡(堀切)が残っていました。なにより、古道の雰囲気が今に伝わる良い道です。ヤブ漕ぎ区間もほんのわずかで、ササヤブが刈られていました。もう一度ゆっくり味わいながら歩いてみようと思います。(写真集/G+ Photos)
高安山越十二道の現況について
高安山を越える12の古道についてまとめられた資料がとても参考になります。同資料は「高安城を探る会」の皆さんが、古代高安城の石垣や礎石の痕跡を追い求める過程で作成なさいました。その中には地形図を元にして、探索した際のメモや研究成果が書き込まれています。道の様子は変わっても、古墳の存在や小字名などの名称は大いに興味を掻き立ててくれます。
ハイキングコース
「十三越」「立石越」「おお道」「信貴越」「恩智道」の五本はハイキング道として整備されているので、初級コースとして手軽に楽しめる山道です。
「立石越」
「楓のコバ」(休憩所)は紅葉の名所
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注目点として、「十三越」から分岐する櫟原越(河内越)と「立石越」の旧道は、ほぼ廃道として通行が困難なルートになっています。また、「恩智道」には現在よく歩かれているルート以外にも複数のルートが存在します。
2014年にヤブが刈られたので、ちょっとは歩きやすくなっています。
櫟原越(河内越)
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「立石越」の旧道は、天竜寺までは道が整備されていました。上から何度か覗いた感じで、踏み跡が残っている可能性がありますが、現在の尾根道に付け替えられたのは昭和七年のことだということです。天竜寺から奥へ進めるかは不明です。
2009年にルートミスで天竜寺まで歩く
チャレンジコース(中級者向)
「おと越」「しろ道」「神光寺道」「鉢伏道」「神宮寺道」の五本は、ハイキング道ではありませんが、静かな山歩きを楽しめる愛好家向けのコースです。季節によっては、軽装(半袖シャツやスニーカー)で歩くと痛い目にあいますので、ご注意ください。また油断すると道に迷います。
2015.02.21のヤマレコ(おと越)
生駒山系・「おうとう越~阪奈線(62号~66号)~水呑地蔵尊」
「おと越」は堰堤工事のため長らく不通になっていましたが、2014年5月に工事が完了し歩けるようになりました。堰堤の迂回路が見つけにくいので注意が必要ですが、ガイ谷から離れないように登れば問題ありません。
2015.12.06のヤマレコ(神宮寺道)
信貴山大根だき会と信貴山参詣道(神宮寺道)探索
「神宮寺道」は信貴山参詣道の探索で歩く予定でしたが、思わぬところで道の歴史が明らかになり、探索エリアを柏原地域から高安山周辺にまで広げる楽しみがでてきました。
そろそろ探索再開の季節ですよ。
「しろ道」「神光寺道」は、近いうちに歩いてみようと思います。問題は山頂部にある一元の宮のフェンスですが、資料集によると戦時中の高射砲台の跡地があったようです。
峯池北の高峰
八代さん(八代龍王)から見る「高射砲台の陣地跡」
廃道ルート(上級者向)
「楽音寺道」と「おと越南谷道」は、廃道となって久しいために通行はかなり難しいと予想されます。
2018.04.07 YAMAP活動日記
八の字∞周回「楽音寺・十三峠・信貴山」
「楽音寺道」は2017.01.07に歩いて以来、有志の手により復活整備をされています。今シーズンもきっと歩けることでしょう。「おと越南谷道」は、なぜか地理院地図で記載が復活しました。2017年の冬シーズンにちょっとだけ草刈り整備して、多少はマシになったと思いますが、その直後に自転車で転倒して右手を骨折。復活整備は中途半端に終わっています。堰堤工事により、登り口の様子は変わっていることでしょう。気になる方はYAMAP活動日記をフォローなさってください。
生駒山系の情報は豊富、YAMAPを利用しましょう

携帯電話の圏外でも使えるオフライン・マップを無料で使えます。機種変更で余った古いスマホにインストールして、「山専用」としても使えて便利。ユーザーが公開する活動日記は大変参考となります。

YAMAPでルートの確認と記録
八尾市立図書館
今回紹介した「高安城を探る会」の資料集や書籍は、八尾市立図書館で借りることができます。古い資料ですが、新しいからと言って参考にできるわけではありません。道の様子は半年もすれば、すっかり変わってしまいます。
5年ぶりに図書館で本を借りた。
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これまで八尾市立図書館にはあまり良い印象を持っていませんでした。泉南から八尾へ転居して間もなく、市役所近くの小さなビルにあった図書館で本を借りました。開館時間に合わせて返却に行くと、「借りた本は自分で棚へ返せ」と言われたことに「ムカッ」と来て、それ以降図書館の利用をしていません。(返却ポストを利用すれば良かったのでしょうが、バカ正直にカウンターへ返却したのがアダとなりました)
そんな個人的な事情(というより「感情」)で、minamiさん(@mieao62)から早くに本書の紹介を頂いているにも関わらず、重い腰を上げることなく他の方法で入手できないかと模索していました。
しろ道も先週より紅葉が綺麗でした。 pic.twitter.com/Rj5DzF2QXq
— minami (@mieao62) 2015.12.06
minamiさん(@mieao62)のツィートを見て、さらに鉢伏道を歩いたことでようやく決断できました。図書館はリニューアルされて利用しやすくなり、職員さんの対応も以前とは大きく変わっています。インターネットで検索して予約ができるので、これからは積極的に活用しようと思います。
では、また。
冬の山歩きは日没との戦い。
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