恩智越ハイキングコースと周辺の旧道探索
2016/11/11
春雨前線で足止めを食らいながらも、河内二之宮・恩智神社に参詣してきました。左近の桜はこれから見頃を迎えます。恩智惣池を起点に軽くハイキングしてみると新たな発見がありました。
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信貴山・朝護孫子寺への参詣道
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ウィキペディアによると大阪側から信貴山・朝護孫子寺への参詣道である信貴山越は六本あり、これに奈良県側からのルートを合わせると七本を数えるという。
宝山寺に勝るとも劣らない賑わいようです。これは、「生駒の古道」としてカテゴライズしてもおかしくないでしょう。生駒の古道というより、「生駒山系の古道」と呼ぶべきかもしれませんね。
恩智越ハイキングコースを紹介
恩智越のルートは、恩智神社西側を「恩智街道」と呼び、恩智神社の参詣道としても知られています。
近鉄てくてくまっぷ(大阪-4) 恩智越・信貴山朝護孫子寺コース|観光・おでかけ
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現在のハイキングコースは近鉄のてくてくまっぷにもあるように、恩智神社の北側を緩やかに登っていくルートで、幅も広くてよく整備されています。道沿いに桜の植樹も多く、手軽なハイキングコースとして親しまれています。
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恩智越ルートマップに示したとおり、北側ハイキングルート以外にも数本の登山ルートが存在します。その内二本は神社東手の惣池を起点とし、最終的には恩智峠を乗り越します。
まとめると、
ルートA 現在のハイキングコース(てくてくまっぷ)
ルートB 旧ハイキングコース(谷道)
ルートC 旧ハイキングコース(尾根道)
ルートD 立原道(南側の谷・立原池ルート)
ルートE 恩智中町(E1)・神宮寺ルート(E2) 途中で分岐
ルートF 堅下北中学校ルート(平野二丁目)
このようになります。(まだ歩いていないのは、未通過としています)
祠の裏手にあるフェンス向こうにある入口が、ルートCの尾根道に通じています。恩智に青少年キャンプ場があった頃、ハイキング道として整備されていたようですが、現在では廃道として地理院地図にも記載されなくなりました。
廃道コースを歩いてみる
入口から突入すると、いきなり良い感じの道が現れます。尾根上にある鉄塔巡視路も兼ねているので、薮漕ぎなどもありません。
最初の急坂を登り切ると、P150の頂上部に到着します。標点はありませんでした。
ピークを過ぎると鞍部です。苔むした感じがたまりません。尾根を境にして北側(左手)は自然林、南側(右手)は竹林です。
鉄塔に到着。結界の広い大きな紅白鉄塔です。隙間から微かに八尾の町並みが見下ろせます。
鉄塔から奥にルートが続いています。尾根の山腹を刻む道に、落ち葉が降り積もって良い感じですね。
道の曲がり方が、古道の雰囲気たっぷりです。
唯一の危険箇所でしょう。たいしたことはありません。
コバノミツバツツジでしょうか。蕾はまだ固そうですが、開花すると一面がツツジで覆われそうです。虫対策して歩いてみるか。(この日は虫対策の必要なしでした)
ここまで歩いてきて、2013.10.27の記憶と異なることに気がつきました。以前は薮漕ぎが必要なコースだったのです。
以前の様子です。背丈ほどの笹で、足元が見えません。
笹ヤブが少し薄くなった区間です。写真で見ると道があるとは思えません。
道の両側に雑草が見受けられるものの、かなりスッキリしています。
完全に道です。写真だけ見ると、全く異なるルートを歩いている感じです。
ルートはP305の北側から、谷間のような東西の鞍部を越えていきます。以前はこの鞍部が雑草で埋め尽くされていて、東の斜面を間違って登りかけました。見下ろすと道が見えたので、戻って鞍部を越えました。
かつてのハイキング道は、この辺りから東に伸びる尾根を登っていました。その痕跡を探そうと、ここから尾根に突入しました。
さすがにここまでは整備されていないようです。薄い踏み跡は確認できましたので、いずれチャレンジします。
ナゾの展望台を発見
戻り目線で北東へ伸びる道を発見。なんだろうと行ってみました。
展望台は大げさですが、このベンチに座ると山の間から八尾の街を見下ろせます。そして、傍らには大きな桜の木が、花びらを散らしていました。なんか得した気分です。
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結局、ヤブ漕ぎはなかった。
少しぐらいはヤブ漕ぎがあるかなと覚悟はしていたんですが、その心配は全くなしでした。しばらくは快適に歩けそうです。
ここを抜けると前方に再び鉄塔が現れます。2013年訪問時は、脱出するのに精一杯で一枚の写真も撮れていません。今回はスイスイでした。
鉄塔到着。見上げます。快適な山歩きは、この鉄塔のおかげでしょうか?
恩智越ルートマップ・ルートDの立原道に合流しました。そして、ルートB(谷道の旧ハイキングコース)で帰りました。谷に出るまでは急な崖を通過するので、下りには向かないルートです。
今昔マップ On the Webで旧道を探る
今から約100年前の地図には、ルートB(谷道の旧ハイキングコース)と今回歩いたルートCが記載されています。記載の様子からルートBが恩智街道に接続する恩智越の旧道であることは間違いないでしょう。
ルートEの地点(イ)にある石標です。「左 さかい、右 しぎ」下の方は読めません。このルートを今昔マップで見ると、地点(ロ)で分岐するルートE2が旧道であることが推測できます。
地点(ロ)に今もこのプレートがあるかどうかは不明です。撮影したのは2013.05.17です。ここから南西に分岐する方向が旧道と推測するルートです。この日は北西のルートE1を歩いて竹林から恩智中町へでました。
この「十三丁」の石標は、先ほどのルートとは関係なく、ルートFの堅下北中学校に通じるルートだと思います。この地点近くが分岐になっており、消防組合の道標が示す番号「8」の方向が堅下北中学校です。写真の正面が矢印「8」の先で笹ヤブがびっしりです。
今昔マップで見ると、このルートも二重線で描かれており、旧道であることはほぼ間違いないでしょう。中学校のグラウンド建設により、出口付近の道筋が昔とは異なるだけで、ほぼ現在の地図と比較しても遜色ありません。
なにより石標がこの事を物語っています。恩智越の参詣道は、知られている以上に複数存在していたと考えるべきでしょう。
立原道でも石標を発見していますので、恩智越のサブルートはいくつあったのか想像もつきません。いずれにしても、ルートE2とルートFについては、歩いてみたいと思っています。
では、また。
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