特選コースガイドⅡ「おと越南谷道(大阪府八尾市大窪)」
2022/06/19
特選コースガイドの第二弾は、高安山越十二道(八尾市)の中から「おと越南谷道」をチョイスしました。
「おと越南谷道」とは、その名称の通り「在原業平ゆかりの古道・おと越」から一本南の谷筋道を指しています。ちょっと安直なネーミングだと思いますが、ヤマッパーのただポン90さんの情報によれば、「平の谷」という名称があるようです。
注(*)高安城を探る会の資料集によれば、ソバフリ山(P447)、現航空保安無線施設の山頂部を端にして、「西谷~箕ノ淵池南側~大窪総池~天理教神立分教会西」にて藤木川と山畑川が合流すると紹介されています。
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昭和50年代の人気コース「おと越南谷道」
「おと越本道」のように「和漢三才図会」が伝えるロマンチックな伝承や、「重箱石、門石」と言った名のある見どころはありません。谷筋一帯に広がっていた花卉や果樹の耕作地が放棄されるようになると、急速に荒れ果て、忘れ去られてしまいました。しかし、「平の谷」という地名が示すように、U字谷の明るい谷歩きを楽しめるハイキング道だったようです。
コース概略
それでは、コースの概略を見ていきましょう。「高安城を探る会の資料集」(以下、資料集と言う)によると、「この道は国土地理院のどの地図にも載っていない」とされています。今昔マップで現在の地図と比較すると、1970年代の地図にはいずれも破線道が示されていました。ほんの一時期だけ消えていたのか、それとも、現在も消えている「おと越」と間違えたのでしょうか。現在の地図には、8合目付近から北へ延びる破線道が描かれており、尾根道から東へ右折して直進しています。平の谷(西谷)を遡上するのが本道ですが、ちょうど「信貴」の二文字が重なって見辛く、北廻りが本道であるかのようです。この北向きルートは、通行困難なヤブ漕ぎ道ですので、ご注意ください。
高安山越十二道 Part.1
「おと越南谷道」復活の記録
昨年、4合目付近で砂防堰堤の設置工事が行われ、作業道路確保のため放棄に近かった農道を拡幅しました。資料集によると、「昭和60年代に入ると、果樹畑を作る人々が年々減って行き、それと共に大和葛のはびこるところとなる」と記されています。ネットで散見されるチャレンジされた方の記録を見ても、途中の草藪や倒木により道を見失って撤退されていました。上掲の写真にある地点(マイマップ参照)付近が酷かったようです。自然はかなり破壊された一方、何とか手作業でヤブを除去できるような気がしました。
2017年1月某日作業開始!
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一年間、悩み抜いた果てに、楽音寺道復活の朗報を得て、ようやく重い腰を上げました。このコースが人気のハイキング道であった理由は、「U字谷の特徴として、低い灌木と木漏れ陽を受ける水の流れが全く別世界を現出し、、、」と資料集で紹介されていることでした。また、尾根道の手前に広がるU字谷に残された桜、梅、桃などの木々、春先どんな別世界が待ち受けているでしょうか。
初日の作業としては、「入り口付近」と「渡河ポイント」の数メートル手前までを整備しただけで終わってしまいました。特に、桜の倒木に絡む蔓がトンネルを形成しており、除去に相当時間を費やしています。最上部まで行くつもりが、全体から見れば20%程度の進捗状況に呆然としながらも、帰り途中で行方不明だった「河内ドルメン」の位置を特定しました。
こりゃ、だいぶん時間かかるで。
初日の感想(ちと弱気)
2017年1月某日作業二回目
二回目と言うこともあり、「千吉」の使い方に慣れてきました。前回よりもスムーズに進んで「渡河ポイント」まで整備できました。作業後に「河内ドルメン」のストリートビュー撮影を行うなど、慌てずにじっくり進める方針に変更。ここで、枝切ハサミの必要性を感じました。
上部に進めば進むほど、笹竹が太く頑強なものになっていました。それが3m程に成長し、一部は倒れこんでトンネルを形成します。そのため、先端部をいくら切っても、元となる笹は斜面の上方から垂れ下がります。根元から切る方が作業効率が向上すると気づきました。しかし、「枝切」は「刈込」のそれより、高価で用途が限られますので、アマゾンのパチモンを物色。結果は上々です。
パチモン枝切(中華製)
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意外に使えるヤツで、次の立石越旧道でも活躍しそうです。
2017年1月某日作業三回目
今回の作業は、「渡河ポイント」から先の右岸側の整備です。以前に草刈りされた形跡が残っていましたが、かなり時間が経過している様子でした。この区間は「U字谷の木漏れ日」を実感できるはずですが、びっしり生えた笹竹に覆われて水流をほとんど楽しめません。通行可能にすることを第一課題として、支谷が南から合流する地点まで切り開きました。渓流サウンドや小鳥の鳴き声を聞きながら、水流を楽しめたらさぞかし別世界だと思います。しかし、現状は伐採した笹竹が積み重なっています。
とりあえず、この日はココまで。(上掲の写真は作業後の振り返り)途中、サクラの苗木が開花していました。春はもう近くまで来ています。作業のピッチを上げないと間に合いませんよ。
サクラの苗木、ウメかな。いずれにしても苗木は早咲きですね。
2017年2月某日作業四回目
近鉄服部川駅
この日は近鉄服部川駅を起点にしました。実際、「おと越南谷道」は立石越ハイキング道の真北に位置していますので、最寄駅としては服部川駅が至便となります。帰路にストリートビュー撮影を行うことを条件に、作業時間を長く設定しました。
最上部まで一気に登るつもりでしたが、前回の切り残しや短距離ながらヤブの濃い場所もあって、問題の地点に着いた時はタイムリミットまで1時間を切っていました。上掲の写真にある中央の島部分に密生した笹竹を、全部根元から切り落とすと、少しは明るくなりました。(あ~、スッキリした~、快感!)切られる笹は災難です。
明るく広い谷上部へ出てみると、桜などの木々に再会できました。枯れた木が目立ちますが、新芽がチラホラ出てきていますので、暖かくなる頃を期待しましょう。
2017年2月某日作業五回目
そろそろ決着をつける時が来ました。寒い日が続いて、上部では少し雪が残る状況。しかし、陽射しは真冬のソレとは確実に異なっています。今回の活動記録をYAMAP(ヤマップ)に投稿してます。長年廃道だったルートですので、道そのものが荒れている部分もあります。熟慮した結果、「限定公開」といたしました。閲覧希望の方は、コメント欄でお知らせください。
さて、今回は詳しく順を追ってみていきましょう。登り口付近は右手に虎フェンスが目印になりますね。一回目の作業時には、鉄の棒杭が刺さっていました。二回目に来たら木柱に変わっています。工事関係の方でしょうか。
溝に使うグレーチングが橋替わりです。かなりグラグラしますので、右手の白テープを追って先で渡河するのが吉かも。ここへ出るまでの笹トンネルやトゲトゲの蔓は除去できてます。
支流(谷)の合流部までの右岸ルートは背丈ほどの笹ヤブとなっていましたが、一人が通行できる幅を確保しました。その際に切った笹竹を沢側へ投げ込んでいます。これが、景観を悪くしました。沢側の笹竹を全部切ってしまうと、かなりスッキリすると思いますが来シーズンまで待ってください。
小滝に出る手前が雑草に覆われていました。下から上がってくると、左手に「府営林」の看板が見えますので、そちらの方向へ草刈りしましたが、恐らく本道はまっすぐ左岸よりに直登するものと思います。小滝を右巻き(左岸側)し、振り返ってみて気が付きました。
谷を詰めて細くなった踏み跡を進むと「谷分岐」に到着します。Y字状に立つ木の両側に赤いテープが巻き付いており、どちらもルートであることを示しています。直進は本道ではありませんが、「大人の秘密基地」に通じています。詳細は今後のYAMAP(ヤマップ)活動日記にご期待ください。
「おと越南谷道」の別世界を妄想する
YAMAP(ヤマップ)で限定公開した活動日記を公開しました。冬枯れシーズンのお楽しみ。ハイキング道のように整備されていませんが、十分山歩きを楽しめる状態です。
恩智左近の桜~恩智惣池南尾根~おと越南谷道 | 生駒山・神津嶽・大原山 |YAMAP 登山・アウトドアの新定番
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では、また。
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