恩智越ハイキングコースの成り立ちと旧道探索
2018/10/05
近鉄てくてくまっぷ(大阪-4) 「恩智越・信貴山朝護孫子寺コース(約9km)」として紹介され、多くの方が利用しているハイキング道は大正14年(1925)頃に造られたと云います。(高安城を探る会・資料集より)
恩智峠(グーグルマップ・全天球パノラマ)
昨年の豪雨による通行止めは解除されました。
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恩智・天川道と天川山
昨年の考察記事にアップした地図を再掲しました。地図のルートBが「天川道」で資料集によると大正元年(1912)頃に出来た道で、「天川神社南の尾根を通る道、、、けわしい」と記されています。(天川は「あまかわ」と読むそうです)
これは意外で、旧道としては比較的新しい部類に入りますね。山林作業道だと思っていたルートDの立原道の歴史が古く、明治18年(1885)には存在していたと云います。(おそらく江戸期から利用されていた古道でしょう)
立原道の丁石(道標)
天川道
天川道の道筋は最新の地理院地図に表記されている通りですが、ふぁんトントが知る限り現在の道筋が記載されるようになったのは最近のことです。
今昔マップ京阪1993-97より

今昔マップでも確認できるように、以前は南の尾根に上がらずに谷筋を遡上していました。このルートが今も歩けるのか以前から興味があったので、トライしてみました。
渓流沿いに緩やかに登るルートで川幅も広いので、岩場の険しい南尾根よりもハイキング道に適していたと思われます。しかし、途中の倒木がルートを寸断し、通行不能となって顧みられることなく今日に至っているかもしれませんね。
天川山
同資料集で最も興味深いのは、恩智神社の奥宮として伝わる天川神社の石碑でした。資料にも昭和54年とありますので、沢ルートが通行可能だった時代に建立されたのでしょう。
天川山とされる頂上部に石碑はありました。ここが神社跡地される場所なのでしょう。往路は決死の覚悟でよじ登ったものの、下山にはロープが必要となる場所です。「無事に帰れないとこの写真は公開できないぞ」と思いながら石碑に近づいてみると、後方に立派な尾根道が続いており、正直「助かった。。。」と石碑に両手を合わせて感謝。
全天球パノラマで信貴山参詣道を振り返る
天川山へは大正14年頃に開通したという恩智新道(現在のハイキングコース・ルートA)からアプローチしてください。最初は急斜面ですがやがて立派な尾根道に出て山頂へ安全に到達できます。
恩智信貴越
恩智信貴越の道筋は現在の地理院地図には記載されていません。しかし、この道は江戸期から利用されていた信貴山参詣道のサブルートです。踏跡や路盤はしっかりしていて、定期的に草刈りなどの整備がされています。
展望台の後ろから道が続いています。
信貴道ハイキングコース
恩智信貴越が信貴道と合流するあたりは、小字名で常川(ジョーガ)と呼ばれる場所で、黒谷権現社の奥宮があったとされる場所です。
道の中央に横たわる方形石は奥宮の遺構かもしれません(未確認)

資料集には「在りし日の十丁石」が紹介されています。モノクロ写真ながらかなり立派な丁石だったことが分かります。残欠が無造作に放置されているのが痛ましい。
近鉄信貴線・信貴山口駅
信貴山口駅は高安山から恩智周辺における山歩きの起点となります。駅前の観光案内地図が2015年12月にリニューアルされました。
当ブログや生駒山系コミュニティでも、積極的にこの地域の情報(ローカルガイド)を発信していこうと思います。
今回の歩いたルートはYAMAPに公開しました。
では、また。
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