【続編】伊行氏関連石造遺物群(生駒市指定文化財)を見に行ってきた。
2015/08/03
伊行氏(いのゆきうじ)とは伊派に属する石工集団の一人で、生駒市内の暗越奈良街道筋に数多くの石造遺物が残っており、その多くが伊行氏により造立されています。一般的な見学が不可能な石仏寺のご本尊である阿弥陀三尊像を拝見することができたので、この機会にと思い、その他の石造遺物群についても見学に行ってきました。
生駒市教育委員会発行
上記の資料によると石工伊派は、鎌倉時代の初めに中国大陸から来日した伊行末を始祖としているとのこと。目的は東大寺大仏と大仏殿の再建工事でした。当時の日本には独力で再建するための技術者が不足していたのですね。
また別の資料によると、昨年、国見岳登頂の際に見た奈良市指定の文化財「南田原磨崖仏」は、伊行氏から約30年後に活躍した伊行経が手がけた石造物だったようです。
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無量寺の五輪塔
今回指定された文化財は、藤尾町の石仏寺(阿弥陀三尊像)と壱分町の無量寺(五輪塔)で、いずれも鎌倉時代に造立された石造遺物です。
石仏寺の阿弥陀三尊像は、堂内で大切に守られてきていますので、保存状態は良好です。とは言え、歴史を振り返れば戦争や災害など存亡の危機はあったはず、信仰の深さゆえの奇跡としか言いようがありません。
無量寺の五輪塔は境内ではあっても、屋外なのでそれなりに風化は進んでいます。肉眼で銘文を読み取るのは不可能ですね。資料に詳しく銘文がしるされています。
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訪問時、ご住職がちょうど出かける寸前でした。辛うじて見学の許可を得ました。帰り際には防犯カメラにお礼をして寺を出ましたが、最近は石造物にイタズラする奴が多いので、見学にはとても気を遣います。ヤレヤレ。
竹林寺の結界石
別の資料に竹林寺の結界石が置いてあった場所が記されています。
興味深いので北東にあった場所に行ってみましたが、住宅街のドンツキで探索は不可能でした。結界石そのものは、竹林寺の境内に集められています。
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銘文にある入西というお坊さんと伊行氏との関わりが深く、これらの結界石も伊派の石工が関わっていると推測されています。
輿山墓地の宝篋印塔
宝篋印塔なるものの存在を知ったのは、昨年の「長者屋敷越の古道」を歩いた時でした。以来、生駒山系でもよく目にするようなりました。と言うより、認識できるようになりました。以前は棺台の上に腰を下ろして、おやつを食べたりお茶を飲んだり、、、無知というものはオソロシイ。
初期の宝篋印塔は、隅飾が垂直に立っているとのこと。時代が進むと隅飾は花が開くように斜めになってきます。正元元年(1259)の刻銘があることから、伊派の石工が関与したことが推測されています。本邦で二番目に古いとされる供養塔です。
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往生院周辺の野仏
輿山墓地が近いこともあって、往生院へ向かう農道沿いで野仏を見つけました。花の写真を撮ろうと思って、斜面に足をかけたら足元に箱仏。もう少しで踏みそうでした。
今回の山歩きは、前半が寺社巡りで後半はちょっとスリリングな行場探検でした。鳴川の棚田を下見したところ、今年もほとんどの棚田で水が張られ、田植えの真っ最中でした。山田の再上部は放棄されていましたが、それ以外は大丈夫なようです。櫟原やヒロド池周辺はすっかり放棄されてしまった田畑が目立ちます。この時期の状況を記録しておくと収穫時期の様子が目に浮かぶようで、今から楽しみかなぁと思って撮影してきました。これぞ、「ザ・ニッポン」の風景をお楽しみください。
では、また。
田植えの始まった棚田の風景梅雨が明けた頃に再訪します。
Posted by ふぁんトント on 2015年5月23日
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