生駒の古道「見どころが多い富雄川沿い・三碓から奈良中町」
2015/10/01
「生駒の古道-生駒市古道調査-(発行:生駒民俗会)」(以下、本書と言う)では、生駒市域外の道筋についても触れられています。生駒市高山町の溜池付近を発端に流れる富雄川は、矢田丘陵東麓の二名町から奈良市を流れる川となり、流域には往時を偲ぶ石仏や旧跡が多く存在します。行政区は変わっても歴史や文化に変わりはありません。
今回のテーマは富雄駅から南へ
今昔マップ on the web(1947-50)
昭和16年に鵄邑(とびのむら)駅に改称された。
富雄村北條(キタンジョー)の地蔵堂G+
像高160cmの船形地蔵立像は愛宕地蔵と親しまれています。
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本書にない見どころをご紹介
近鉄富雄駅(昭和28年再改称)から南へ、三碓(みつがらす)一丁目から旧道を歩きます。西には県道7号線(枚方大和郡山線)が富雄川のすぐ横を走っています。歩く道筋は旧富雄村の各集落を結ぶように通じており、曲折の多い味わい深いものがあります。
だいわ通りと出合う
ここからのどかな田園風景が広がってくる。
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左手に地蔵石仏を見てだいわ通りの広い道を見送ると、さらに道は細くなっていきます。富雄川の支流を跨ぎ、広い田んぼと送電鉄塔が見えてくると、鉄塔越しの手前に矢田丘陵、その背後にそびえる生駒山系。思わず快哉を叫びたくなる景色ですね。
ほどなくして三碓自治会館の前に到着すると、本書で紹介された旧三碓小学校の門柱、三碓地名起源伝記碑、下條(シモンジョー)地蔵塚などが見つかります。
Google+ フォトストーリー:富雄三碓の石造遺物
奈良市中町を歩く
本書では近大橋を渡って生駒市壱分町と奈良市中町を結ぶ古道(岩鼻越)が紹介されています。このルートはどちらから歩いても住宅街をかなりの距離歩かねばならず、山道はほんの一瞬で終わってしまいます。あまりにあっけない古道歩きに物足りなさを感じるでしょう。
少しの区間を我慢して県道を歩き、再び田んぼや畑のひろがる里道に戻りました。県道から千代ヶ丘の住宅地に伸びる道路と交差する手前に行者堂がありました。
峙(そわ)垣内の行者堂G+
神変大菩薩と弘法大師
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行者堂なのに役行者(神変大菩薩というらしい)は雨ざらしで、色鮮やかなお大師さんがお堂の中で座しておられました。
自然石彫込役行者像(室町期)
自然石を深く彫り込み、上部が笠石のように突き出ています。
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詳しくはわかりませんが、なかなかの秀作だと思います。是非、現地でお確かめになってください。
奈良市中町山ノ上の見どころ
浄福寺との分岐の辻に地蔵堂がありました。クロガネモチの大樹があるという同寺にもいずれ訪れてみたいと思います。ルートはここから富雄川に向かって進み、富雄南小学校の西に架かる橋を渡って、中町山ノ上へ向かいます。
迷路のような道筋に矢田寺を指差しする古い道標が二本あり、間違わずに弥勒寺に到着できました。昔の人の知恵は素晴らしい。
大和の石仏(創元社 清水俊明著)によると、本尊は阿弥陀仏であるが本堂内に弥勒石仏を安置するとあります。著者は弥勒寺と言う寺名から、この石仏が本尊であった可能性を指摘しています。時節柄見学は難しいことを承知の上訪問することに。
山形の自然石に三尊仏が彫り込まれたもの(桃山時代)
その他、江戸期の石造遺物等が多く並べてありました。
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予想通り件の弥勒石仏の見学は叶いませんでしたが、境内裏手にある墓地で興味深い石仏を拝見することができました。
暗越大坂街道を西へ
なぜ、「暗越大坂街道」なのかは、是非本書を手に取ってお読みください。本書は生駒ふるさとミュージアムなどで販売されています。
気になる方は、当ブログの過去記事をどうぞ。
矢田山参道の道標と大きな常夜灯のある辻で今回のルート紹介は終わりです。辻を東に取れば砂茶屋を経て奈良三条通り、伊勢本街道の始まりです。西へ取れば榁木峠・暗峠を経て大阪へと続く。その前に奈良県立矢田公園(子どもの森)で休憩することにいたしましょう。
一等水準点(点名:10712、標高:90.1960m)
水準点は土中に埋設されることも多く、ここほどしっかり観測できるのは珍しい。
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締めくくりの前に一言。先ほどの辻には、一等水準点が設置されています。三角点と同様な柱石が地面から50cmほど伸びています。これは昭和7年に設置されたもので、水準測量を行う際に標高の基準となります。石仏同様、大切にしていきましょう。
では、また。
参考ルート(ふぁんトントのヤマレコ)
富雄三碓~奈良中町~矢田山子どもの森~滝寺跡~東明寺~乙田
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