幻の古道を歩く「暗峠・宝山寺道」
2015/04/15
延宝6年(1678年)に湛海律師により創建された宝山寺は、聖天信仰により発展し周辺からの参詣道は六本も存在したと言う。当然のように廃道となって忘却の彼方へ去ったモノもあれば、ハイキング道として再利用もされています。
これまでブログやヤマレコで紹介してきた庄兵ヱ道、菜畑参道、暗峠参道は記憶から消え去るばかりか、実際の道までもが消失しようとしています。
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暗峠・宝山寺道は幻なのか?
昨年出版された「生駒の古道」(以後、本書と言う)では、「暗峠・宝山寺道」(112p)として、これまで詳しく伝えられることがなかった暗峠参道の様子が紹介されました。
この参道は現在、一部を除き消滅しています。
(「生駒の古道」 121pより引用)
衝撃的な前置きで始まる文言は、この幻の参道を何度も歩いておられるタケチャンマンさん(石仏の辻・ウォーキング娘主宰者)の手によるものです。
歩く・石仏の辻 011 再び 宝山寺旧参道 峯の薬師跡十三仏 髪切峠へ 石仏の辻
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本書ではタケチャンマンさんの体験談が十分に反映されていないのが残念ですね。限られた紙面と道の状態から致し方ないのでしょう。
それでは、ふぁんトントが補足いたしましょう。
額から左目にかけて刀傷のように亀裂が入っています。立派な体格は見るからに圧倒されます。
石龕風の屋根付きです。なぜお大師さんが三体なのか? ナゾです。
享保十七年
北 鬼取山 十二丁 宝山寺廿五丁
現在、ここから先、北の鬼取町の峯の薬師(旧鶴林寺跡)までの約1.5キロメートルは道が消失しています。
(「生駒の古道」 122pより引用)
この区間はつい先日歩いてきました。また、不完全ですが過去にも2度ほど歩いています。3回目でやっと納得のできる古道歩きができました。
過去のヤマレコです。(様子はかなり変化しています)
生駒山系・「峰の薬師・旧鶴林寺~暗峠宝山寺道~庄兵衛道探索」 [山行記録] – ヤマレコ
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生駒山系・「生駒線一分駅~暗峠宝山寺道~千光寺行場巡り」 [山行記録] – ヤマレコ
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行程上の変化もありますので、後ほど詳述することにしましょう。
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以前に生駒三大薬師を紹介した記事で、薬師如来坐像の写真を間違えていました。恥ずかしいです。修正して写真を追加していますので、ご参照ください。
分岐から勾配は急ですが、道の中央に手すりが付いています。
オールシーズン通行可能な勾配の緩やかな山腹道です。景色がよく見えないのが残念です。ベンチ付近は見晴らしが良かったと言います。ぜひ伐採して欲しいモノ。
幻の古道を歩く
今度で三回目になりました。話によると道の状態が悪化しているとのこと。昨年歩いたタケチャンマンさんが、途中で引き返したらしい。かなり気になりますが、挑戦してきました。
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挑戦の様子を動画にしました。
BGM:フリー音楽素材 Senses Circuit
鉄塔がなひっ!
動画を見ていただいた方、ありがとうございます。ちょっと長いですね。飽きさせないように工夫をしたつもりなんですが、、、
道の状態は悪くなかったです。過去の経験を活かして、崩落箇所を迂回後に水路を遡らずに水平移動で鉄塔へ出る計画でした。これは、一応成功しまして道の痕跡も発見。
過去2回は水路を遡り、スカイラインの縁から鉄塔へずり落ちるように下っていました。今回、鉄塔の手前付近に近づいても、その姿はおろか空中の電線さえも見えずちょっぴり不安に。
それもそのはず、鉄塔はすでに撤去されていたのです。黄色の丸囲みから飛び出して、しばし呆然。よくよく考えると、古道は鉄塔で分断されていたのですね。
鉄塔下側の脚台があった付近から別の道が伸びていました。古道と並行しているのですが、すぐ先で不明瞭。今後の調査が必要ですね。
雪ニモ負ケズ、天照山経由で下山
ここからは、動画で予告した天照山のご紹介です。
天照山はかつて旗振り通信が行われていた場所です。
阪奈線71号のフェンス沿いに歩いて、笹ヤブを通過すると立派な道が現れます。笹ヤブは左右から迂回すればオーケーですよ。但しトゲトゲの木に注意しましょ。
南北に広くなっており、尾根道は府県境にもなっています。
田んぼの畦道のように、尾根道を盛り土してあります。とても歩きやすい。ヤブ漕ぎもありませんよ。
尾根の南端は畑になっています。なので、ここからハイキング道の生駒縦走歩道に合流して暗峠へ向かいます。
今回はコレで終わりです。本書を読んでいると「菜畑参道」についての言及が少ないことに気がつきました。「京みち」や西(奥)菜畑薬師堂の紹介と重複する箇所はあるのですが、わずかに残された菜畑参道の敷石道が気になります。
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最後に歩いたルートをルートラボにアップしました。何かの参考にしてください。但し、歩く場合は自己責任でお願いします。単独行はオススメできません。
では、また。
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