ふぁんトントのブログ(保管庫)

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宝篋印塔の謎に挑む。~長者伝説の古道~

      2023/03/21

2014.11.15撮影
長者屋敷伝説の地蔵祠

2014年11月に長者屋敷越の古道を歩きました。

2014/11/15 長者伝説の古道①・長谷寺~狛峠~長者屋敷越の峠

前日に準備をしているとデジカメの調子が悪くなり、それがキッカケでFUJIFILM Finepix XP70に買い替えました。2015年2月に後継機のXP80が発売され、新色のブラックが追加されています。

FUJIFILM コンパクトデジタルカメラ XP80 防水 ブラック XP80GB
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バッテリーパックなどのオプション品はXP70と共通です。

突然で困り果て、急遽お蔵入りしていたスマホで代用。オマケにルートミスで杉林を彷徨う等、散々な結果でした。

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磨崖線刻宝篋印塔を発見する

2014.11.15撮影
001

満足できる山歩きではなかったものの、成果はありました。ルートの途中で、自然石に線刻された宝篋印塔を発見したのです。

2015.01.11撮影
002

その後、石仏の辻「ウォーキング娘」に参加した際に、石仏に詳しい方から、とある相似点を教示されました。

天野落神(あまのおちがみ)六社権現
天野落神六社権現

天野落神六社権現に遷座されたという磐座に刻まれたモノ。その宝篋印塔とよく似ているということでした。

遷座された磐座
004

ネットで紹介されていた厳樫俊夫氏の由緒書きに大変興味を惹かれました。

Screenshot of kamnavi.jp

神奈備にようこそ!大和の神々 – 天落神六社権現 奈良県桜井市

由緒記
005

六社権現とは「山に三社、川に三社」ある総称のことで、川にあったという巨大な磐座が初瀬ダムに沈みました。では、「山に三社」の場所はどこなのか? そこにも磐座があるはずです。リベンジも兼ねて再訪してきました。

榛原安田からアタックする

2015/1/11 長者伝説の古道②(榛原安田~初瀬)と與喜山・初瀬ダム

近鉄榛原駅から安田までずっと車道歩きでした。田舎道とは言え、国道370号線は伊勢本街道です。

宇田川沿いを歩く
宇陀川の風景

国道が宇陀川と並走するようになると景色が一変。山裾の田園風景が目を楽しませてくれました。

極楽寺の阿弥陀如来坐像
006

脇に金属プレートの説明板を立ててありますが、文面が錆びていて全く読めませんでした。

阿弥陀如来坐像(?)
007

船型の光背に刻された太陽と月。ちょっと何か違うぞ。

すると前垂れの下が激しく気になって、脱がせようとしましたが、ムリでした。

坐像下部(腕が四本、何コレ?)
008

めくり上げると虫が数匹冬眠中でした。持った手が一瞬固まる。

「これが坐像なのか?」「そもそも阿弥陀如来ですか?」

疑問が深まるばかりですが、時間がありません。次に向かいます。

篠楽(ささがく)の庚申堂
009

石仏ファンにはとても有名だとか。中央に青面(しょうめん)金剛石仏、手前下部に箱仏。

青面金剛石仏
010

軽いカルチャー・ショックを受けました。なんせ初見です。予備知識もなし。

安田入口
011

ブラブラ歩いていると安田の分岐点に到着しました。民家の角地に祠があったので立ち寄りました。恐らくコレも庚申堂だと思います。

左下部に「見ざる言わざる聞かざる」
012

そうすると、この石仏も青面金剛ですね。特異な像容にユーモアを感じます。興味は尽きませんが、歩を進めましょう。電線柵に悩まされながら旧道で峠を目指しました。

長者屋敷越古道の峠付近

長者屋敷跡(伝承の地)
013

ほどなく峠手前にある長者屋敷跡と伝わる広場に到着しました。方隅に小さな祠があり、中ほどには五輪塔の残欠が放置されています。

比較写真
014

なんと祠がリニューアル。柱と屋根はそのままに修復され綺麗になっていました。

石仏(阿弥陀如来坐像?)
015

祠内部には小さな坐像が安置されています。腰の部分で亀裂があり、少し傾いています。風化が激しくて、像容はおろか表情も見えませんが、背後から覗き込んだところ一石彫でした。

峠の二尊仏
016

峠付近には地蔵石仏が二体、斜面に立てかけてあります。一方は残欠に近い状態で、苔むしています。

斜面上の地蔵石仏
017

見逃してしまいそうな場所に立つ地蔵石仏です。頭部が見事に切断されて、そのままの状態でした。

背後から
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お正月の飾り付けが残っていました。

頭部です
019

風化でお顔が見えません。

前面
020

残念ながら銘はありません。

古道を北へ、長谷寺に向かう

磨崖線刻宝篋印塔
021

お待たせしました。今回のテーマ「線刻の宝篋印塔」です。早速、比較してみましょう。

比較(上部)
022

彫られた梵字に違いはあるものの、様式はほとんど同じに見えます。

比較(下部)
023

異なる点は梵字部から下部にあります。左(A)は水平軸で相似形になっています。台座が二段になっている部分は、破損しているので比較できません。

ヤマレコの写真説明でも書いたように、一見して異なると感じたのはこの部分でした。しかし両者を並べて比較してみると、関連性を強く感じます。やはり、「山に三社」の一つなのでしょうか。

土砂に埋もれた石仏
024

ここは分岐点で、宝篋印塔以外にも石造遺物が数点ありました。特選コースガイドで紹介されている地蔵石仏です。

台座(?)
025

墓標でしょうか。「信女」とだけ読み取れました。

背後にせまる斜面
026

急斜面を背にしているため、雨が降るたびに、土砂が堆積し埋まってしまいます。このまま忘れ去られてしまうのでしょうか。

化粧坂から天落神六社権現へ

右くわんおんちか道
027

不十分さは残りますが、何とか無事に与喜浦に到着しました。與喜山(天神山)を越えて天落神六社権現を訪問しました。
顛末はヤマレコでどうぞ。

見廻(みかえり)不動尊
028

どうしてもご尊顔を拝したくて初瀬ダムから引き返しました。かなり高い所に磨崖仏が刻されていて、ライトが届きません。夕闇が迫る中、磐座に足をかけてよじ登るわけにもいかず。撮影するには、梯子か脚立が必要なようです。

おかげ灯籠
029

諦めてトボトボと歩いていると立派な灯籠発見。旧道をチョイスして歩いてよかった。

天保二年の紀年銘
030

紀年銘が刻されていました。ライトアップするまでもなく明瞭。

堂内の石仏(木彫かも)
031

お堂は格子戸が閉まっていました。ここではGENTOS”閃”が威力を発揮。

丸彫の地蔵立像
032

これらの石造物について帰宅してから調べると、石仏ファンには、広く知られているモノのようです。尤も、お堂の後方に室町期の石仏があったようで、当日は、全く気が付かずに見逃しました。

詳しくは下記サイトでどうぞ。

Screenshot of blog.goo.ne.jp

桜井市 初瀬の丸彫り地蔵石仏:見廻り(みかえり)不動尊/他 – 愛しきものたち

まだまだ勉強することはたくさんありそうです。青面金剛ぐらいでビビってる場合じゃあない。

長谷寺山門下
033

長者伝説の古道に存在する自然石の磨崖線刻宝篋印塔が六社権現由来のものなのかは不明です。しかし両者を比較して見ると、関連性は濃いように思います。このまま忘れ去られるのは惜しいですね。

2015.01.17に柴田先生から届いたメールによると

…(前略)ネットで提供されている資料を簡略に分析・比較する限りでは、二つの刻印は、かなり異なる種類のものと思います。少なくとも、同じ系統の線刻画とは考えにくいような感じがします。

「専門家が分析すれば,違う分類の方法もあって、同種という判定がでるのかも知れないので、あてにしないでください。」と付け加えておられましたが、当方に結論付け出来るだけの知識と見識がありません。ご存じの方がいらっしゃればコメント欄でご教示下さい。

では、また。

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