2021年4月28日、RICOH THETAシリーズのフラッグシップ機としてストレージ容量を拡張した「RICOH THETA Z1 51GB」が発売されました。
令和元年の発売以来(2019.05.24)、360度写真の愛好家から「RAW撮影・現像による本格的な作品作りをできるカメラ」として注目を集め、プロフェッショナルな世界においても、そのポテンシャルの高さに驚嘆の声が多く寄せられています。もはや”THETA is a toy“の声を聞くことはありません。
当ブログでは、旧モデルの発売前から同機を入手し、主に静止画撮影に特化して高品位な360度写真の製作に努めてきました。そんな「ご縁」もあって、今回のストレージ拡張版発売に際し、RICOH THETA公式ブランド・サイト「THETA Lab」様の記事執筆等に全面協力いたしました。
下に続く。。。
DualFisheyeプラグイン・HDR-DNGモードを徹底解説
撮影:DualFisheye Plugin HDR-DNG Mode -/+4 f/2.1
Dualfisheye plugin & Z1 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA
基本アプリを利用したHDR撮影は、RAW(DNG)撮影と排他仕様となっています。そのため、多くのフォトグラファーがクラシカルな手法を用いて、RAWデータを基にしたHDR合成にチャレンジしました。試行錯誤を繰り返すユーザーの目前に、彗星のごとく現れた「DualFisheyeプラグイン・HDR-DNGモード」は、あっという間に皆のハートを鷲掴み。世界中のVRクリエイター達を魅了し続けています。
before/after(現像前/現像後)
In-depth tutorial for DFE Plugin HDR-DNG mode
これからDFEにチャレンジしたい方にとって、RICOH公式から公開された「徹底解説」の記事は福音となるでしょう。筆者の撮影画像をサンプルとして多数提供しましたので、迷うことなく最短距離にて「禁断の果実」をゲットなさってください。
「DFEあるある」の見直し
※詳しくは当ブログの過去記事をご参照ください。
DualFisheyeプラグイン・HDR-DNGモードを語る上で、「DFEあるある」を避けて通れません。RICOH公式から「徹底解説」が世に出るにあたり、現状に合わせた加筆・修正が必要となりました。編集者さんからは、「随時修正していきますので、気になる点ございましたらご連絡ください!」とお墨付きをもらっています。
(1)フラッグシップ機に相応しい「ストレージ容量」
「ストレージ不足」は、51GB版の発売で解決しました。静止画撮影中心であれば、不足することはないでしょう。THETAの利点は「小型・軽量」であること。なにかと不具合の発生源となるSDカード対応は賢明ではありません。外部スロットを設けると、必ず筐体サイズと堅牢性に影響します。
※同じ理由で「着脱式バッテリー」にも反対の立場です。
(2)”HDR-DNG”フォーマットへの対応?
Windows PCに取り込むと、やや暗いながらも画像を判別可能です。一方、Mac OSは依然として「真っ赤」なサムネールで表示しています。昨年(2020)Intel-NUC10 Core i7-10710Uを購入し、RAW現像を含むすべての編集作業をWindows10 Pro(21H1)に移行しました。そのため、同時期に買い替えたMacbook Airは、Catalinaに据え置いて待機中。M1搭載機への買い替えでBig Surへのアップデートを予定しています。そんなこんなで、Macファンには申し訳ないけれど、「MacはZ1向きでないなぁ」と思う今日この頃ですね。
※コロナ禍の影響でPCを持ち歩くこともなくなって、アップグレードのモチベーションを失ってます。ドヤリングできる日は来るのか?
(3)”Pink Zone issue”が消えた!
プラグインのアップデートをお忘れなく。
動的な被写体周りで発生する「ピンク・エラー」はプラグインのアップデート(Ver.2.12.0)で改善されました。その結果、これまで意味のなかった「Motion Detection」のオプション設定を重要と考えます。撮影現場の状況に応じて柔軟に「オン・オフ」する必要がありそうです。
静的な環境では「オフ推奨」と言いたいところ。しかし、室内であってもエアコンの吹き出し口など、僅かな風で揺らぐ物体を見落とす危険性に注意しなければなりません。プロはタイトな現場で撮影なさってるのです。
RICOH THETA Stitcherスタンドアロン化問題
スタンドアロン化問題とは、RICOH THETA Stitcherを、Adobe Lightroom Classic(=以下”LrC” と略します)以外のソフトウェアで使いたいと言う主張に対して、どのように対処すべきかという論考です。
最初に個人的見解に基づく「結論」を申し上げます。
では、「なぜ」そのように結論づけるのかについて考察しましょう。
スタンドアロン化はワークフローとワンセットで提案すべし
スタンドアロン化を望む声はよく聞きます。しかし、LrCよりも優秀なソフトウェアや、試してみたいと思えるワークフローも見当たりません。Affinityは後処理専用、DarkTableやRAWTherapeeは、”Open Source Guy”に受け入れられてるらしいけど、自称も含むプロフェッショナルは使いません。唯一気になる存在はLuminar AI“でしょうか。しかし、このソフトウェアもLrCとの併用で真価を発揮すると思われます。結局、LrCで構築するワークフローを上回る存在は見つかっていないと言うのが実情なのです。
スタンドアロン化を望む背景
※非公式にスタンドアロン化への道を拓く
その要因の一つに、Qoocam(Kandao)やInsta360シリーズなど競合するメーカーから、専用のスティッチ・ソフトウェアが提供されているからだと思います。しかしながら、THETA Z1は、1.0型のセンサーサイズを採用し、三段階の絞り機構(f/2.1 f/3.5 f/5.6)を設けるなど、他社の追随を許さない光学的技術を凝縮したフラッグシップ機です。RAW撮影・現像を行う上級者にとって、Adobe製ソフトウェアとの連携は理想的であり、当然の帰結だと考えます。
※メーカー独自のソフトウェアは必ずしも好評価でないことを付け加えておきます。
その一方で、スタンドアロン化は「オープンソース厨に門戸を開く」と言うサム・ローン氏の考えには賛成です。とあるユーチューバーさんのように「Adobeがウザい」と言う理由だけでは説得力に欠けます。そのような方々は、スタンドアロン化を望む前に「モバイル・ワークフロー」をお試しください。iPad ProとApple Pencilで作品作りに取り組んでみてはいかがでしょうか。
※AndroidとiOSで価格が異なります。ご注意ください。
DualFisheyeプラグイン・HDR-DNGモードは、注目されるあまりに誤解も多いと感じます。誰もが使って幸せになれるとは限りませんが、「画質」へのこだわりが強い方にはオススメ。ただし、繰り返しになるけれど、、、
「この世に「魔法の杖(magic wand)」はない」
フラッグシップ機を手にしたからには、最高のソフトウェアと周辺機器を揃えるのが近道。パチモンで迷走した”Toyo”を見習ってはダメですよ。
この記事執筆中に、噂のLuminar AIを購入。どんな新技が出るでしょうか。
乞うご期待!