生駒の古道・番外編「日下直越道」
2016/05/28
地元の人は直越を「じきごえ」と読むのだそうです。生駒の古道・番外編として、「日下直越(じきごえ)道」を紹介します。
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神武天皇ゆかりの古道
昨年(2014.05)、生駒民俗会より刊行された「生駒の古道」(以後、本書という)には、日下直越道は紹介されていません。
「刊行のことば」を引用すると
ただ、生駒の古道に関しましては今日までまとまった調査に取り組んでおらず、わずかに故今井正弘前会長を中心に編纂いたしました『古道に残る信仰の文字 宝山寺への道』が唯一の刊行物と申せましょう。
生駒民俗会会長 今木義法
と、あることからもわかるように、本書は奈良県側を調査対象にした書籍です。したがって、日下直越のような大阪側の古道については取り上げられておりません。
しかし、生駒の古道は奈良県側だけでなく、大阪側にもいくつか紹介したいルートがあります。その一つが「日下直越道」で神武天皇ゆかりの古道と言うわけです。
資料豊富な生駒の古道(大阪側)
本書の冒頭にある「生駒の歴史・風土と古道」を読むと、大阪側では生駒の古道に関する調査が進んでおり、学術書からガイドブックまで充実していることが分かります。
当ブログでも何度か言及している新ハイキング関西の山ですが、その第28号(1996年5月)に「日下の直越」に関する研究レポートが掲載されています。
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レポートによると「関西 山越の古道(上)」に紹介されている日下越が、荒廃して迷いやすくルートの発見が困難だったと言います。柴田氏の詳細なレポートが、今日の日下直越道復活に大きく寄与したことは想像に難くありません。
レポートに掲載された膨大な資料の数々。これらの一つ一つを紐解いて古道を見つけ出す作業は容易ではありませんね。
二度と埋もれさせないように心がけたいと思います。
現在の日下直越道はハイキングルート
現在の日下直越道は道標や案内表示のあるハイキング道です。地元有志の方々によるボランティア作業により維持・整備されています。大変ありがたいです。
季節によっては、雑草が茂っていることもあるようですが、基本的に道に迷うような危ないルートではありません。
日下直越道のルートは尾根コースと谷コースの二種類があります。大阪側の生駒登山道はたいてい尾根と谷に一対のルートがあるようです。宮川谷ハイキングコースがその典型例でしょう。こちらは、東大阪市が管理するハイキング道です。額田のハイキングコースも、以前は谷と尾根にありましたが、現在では尾根コースが廃道となったようです。(歩いていますけどね。)
ルート現況
バリエーション・ルート
ルートの起点は近鉄石切駅です。大龍禅寺(日下不動尊)が登山口で、途中で尾根コースと谷コースに分岐します。直近の様子では、谷コースもハイキングが楽しめます。
谷コースは倒木や雑草の繁茂で、歩きにくい場合もあるので注意が必要です。近況として管理道との合流付近のヤブが刈られて見通しが良くなっていました。
上記のヤマレコでは、変則的に登ったり下ったりしていますが、往路を尾根コースで復路を谷コース、折り返しは生駒山頂よりも生駒山麓公園やコブシの谷をオススメします。
生駒市の施設です。夏場は大浴場にお世話になります。ここから路線バスが生駒駅との間を往復しており、料金はたったの百円。但し、一時間に一本の運行です。
日下直越道の必見スポット
生駒山麓公園の話題が出たので、周辺の押さえておきたいスポットをご紹介します。
戦前に日下遊園地があった場所で、その後、太宰治の「パンドラの匣」の舞台となった場所でした。昔の遊園地とは今で言うところの公園だったのですね。
日下新池周辺は桜の名所です。池の西に天然記念物のヒトモトススキの碑が立っています。
同種の顕彰碑が各地に設置されています。昭和16年当時の国家事業です。碑文の揮毫は当時の著名な書家の手によるもの。石材は瀬戸内海産の花崗岩です。立派ですね。
神武天皇東征の折に、五瀬命が負傷したとされる伝承地です。石碑が置かれています。
直越道から北に外れますが、湧き水が今も枯れることはありません。ここを通るルートは明治10年に開削された道で、現在の生駒山麓公園の近くにあった石切場から生駒石を運ぶための道だったようです。
龍の口霊泉から林道を下って、阪奈道路を2回横断すると春日神社に到着します。このルートは直越道でもないので、あまりオススメではありませんが、神社にお参りするなら仕方ありませんね。
春日神社に立ち寄ったなら、道中安全の祈願に忘れずお参りしましょ。ちょっとルートから外れてきましたが、ついでに周辺スポットもオススメしておきます。
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ここは説明不要ですね。
日下新池からハイキングコースが通じています。行政も管理している様子の道標が完備されていますが、下りで使うには注意が必要です。(下り目線だと迷いやすい)
こちらは動画を見てください。3分46秒から洞窟探検のシーンです。
以上、荒っぽい紹介ですが、人が歩かなければ道は廃れる。後世に伝える一助になればと願っています。
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