龍王山に残る戦前の航空灯台跡
2017/06/06
昭和初期(昭和7,8年)になると、郵便物等の運搬を航空機で夜間に定期的に行うようになりました。
これら夜間飛行の安全に寄与したのが、航空灯台が放つ閃光だったとのこと。
太平洋戦争の戦況が悪化するとその多くが消灯されたものの、戦後になると復活して日本の民間航空を支え続けました。やがてテクノロジーの進化により、一部を除いて各地の航空灯台は廃止・撤去されることとなり、その数少ない例外が、生駒山(鬼取山)の航空灯台だったわけです。
昨年末にその事を知るに至り、今更ながら訪問したのが次のヤマレコでした。
ヤマレコ(2014.12.6)
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昭和初期に整備された航空灯台
「戦前の航空灯台」に関する資料は乏しいようです。
「歴史と神戸」 53巻5号(通巻306号)に次のような記事が掲載されました。
記事には第一期から五期まで整備された各地の航空灯台に関する資料が詳細な別表で示されています。
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交野三山縦走(交野山・旗振山・龍王山)
別表の資料によると、交野市の龍王山にも設置されていたことが分かります。
山頂にある雨乞い岩の北側あたりです。
昨年9月に初めて交野三山縦走を果たしました。
ヤマレコ(2014.9.13)
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「生駒の自然を歩く会」のコースを歩きたかった。
マップは父の遺産です。以前から気になっていました。
くさか園地から北側エリアは土地勘がありません。
これまでは、気にはなっても、眺めるだけでした。
最近ではこの山域がかなり気に入っており、先日も2回めの交野三山縦走を果たしました。
ヤマレコ(2015.2.14)
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ちと、変則ですが。
龍王山の航空灯台跡
意外にもあっさりと発見。
もっと見つけ難いかと思っていました。
コンクリート礎石が4つ残っていました。
鉄骨の根元も確認できます。
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比較的状態がイイです。
切り取られた鉄骨の根元部分が残っています。
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倒木の根が斜めにかかっています。
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ちょっと落ち葉に覆われていました。
払いのけて撮影。
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この礎石は土に埋まっていて、少し掘り起こしました。
基礎の結界面積からもわかるように、そんなに高い鉄塔ではなかったようです。
現在の送電鉄塔を見てもわかるように、高い鉄塔は結界も広い。
当然といえば当然ですが、前述の資料には鉄塔の高さなども記載されています。
龍王山の航空灯台
設置年から第二期航空灯台に分類されています。
設置年:昭和14年 廃止年:昭和18年 高さ :5.5m
「木津から移転したもの」と記されています。
増設、移設、改造、撤去を繰り返した航空灯台の数奇な運命を想起させますね。
太平洋戦争の戦況悪化で消灯され、鉄骨は剥ぎ取られ、溶かされ、、、
悲しい歴史です。
まだまだある? 航空灯台の遺構
一覧表には、遺構の現存が確認されたものに印が付いています。
著者・柴田氏の脚注によると、『全てを網羅したわけではない』とのこと。
探せば新たな発見があるかもしれません。
興味のある方は、「歴史と神戸」を読んでみてください。
バックナンバーは、神戸史学会のウェブサイトから取り寄せ可能です。
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今も人々に微笑む野仏、人々の記憶から消え去る航空灯台。
どちらも人間が造り出したモノ。
航空灯台が廃止されたのは昭和44年(1969)です。
半世紀も経っていない。
必要なくなれば、あっという間に忘れ去られるのでしょうね。
人間の創りだしたモノは、美しく物悲しいです。
では、また。
その後の情報を絡めて記事をリライトしています。合わせてお読みいただけると幸いです。
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