「山スマホ」とは? 山歩きにスマホを活用することを言います。今では全く珍しくない光景も、かつては*1)無用の長物と言われた時期がありました。過去に紹介した「山スマホ」系の記事から引用すると。
山スマホの条件
- 防水・防塵性能(突然の雨やヤブ漕ぎ対策)
- 3万円前後の価格(耐久性を考慮)
一見して、iPhoneシリーズは最も「山スマホ」に相応しくないとの考えでした。いつの間にか、そのバイアス(思い込み)を打ち破り、条件を見直すべき進歩があったのです。てなワケで、昨年(2020)購入したiPhone12 Pro等を使って、山歩きの新しい楽しみ方を一挙ご紹介しましょう。
トーマスガジェマガ・チャンネル 2020.10.15
防水・防塵対応で丈夫で長持ちになったiPhone12シリーズ
下に続く。。。
iPhone12 Pro + Apple Watch SEでヤマレコ・アプリを使いこなす
ヤマレコと言えば老舗の「山行サービス(SNS)」として、スマホの普及する以前から知られています。「軌跡データ(=いわゆるGPSログのこと)」を含むヤマレコ山行記録は、未知のエリアへの探求心を駆り立て、歩くエリアを大きく深く広げるきっかけとなりました。高価な専用機「ガーミン」を必要とした軌跡データの記録は、あっという間にスマホへと移行し、山歩きのスタイルさえ変えてしまったのです。
Apple Watchシリーズに対応したヤマレコ
お世辞にも洗練されたと言い難かったヤマレコのスマホ・アプリ。老舗だけあって、膨れ上がった機能を絞り込むことに苦労なさっていた様子。SNS的な要素を全面的に取り入れたYAMAPの追随を許す結果となっていました。しかし、Apple Watchへの対応で形勢逆転。
長年使ってきたSONY Smartwatch2は、Android11へ対応できずに使用不能となりました。関連アプリのアップデートも期待できないことから、やむなく現役引退。直後に、手ごろな価格で入手したApple Watchで急遽代役を務めると、以後はヤマレコ・プレミアムに復帰する熱の入れようです。本来仕事用だったiPhone12 Proを「山スマホ」として鍛えています。
廉価版Apple Watch SEをオススメ
機能充実で価格とのバランスに優れた2020年発売のSEバージョン
Apple Watch Series6と同時に発売されたApple Watch SEは、廉価版とは思えない良端末です。上位版との機能差は、山歩きに支障となりません。そのオススメ理由とは、
- Always ON(常時表示)非対応(不要)
- 血中濃度ウェルネスセンサー非搭載(不要)
- みちびき(QZSS)対応で正確な位置情報(マスト)
- ストレージ容量32GB(よさげ!)
- 豊富な交換バンド(飽きない)
スマウォで山歩き
今やApple Watchは、アウトドア系のスマートウォッチを駆逐する勢いです。腕時計の基本性能として重要な視認性に優れており、タッチ操作による「画面と機能」の切替はスムーズ。グローブを使用中でもデジタルクラウンの回転操作で地図の拡大・縮小を行えるのは、アウトドア・ユースにとって重要なファクターです。
タッチ・インターフェイス
クィっと手首を回して現在地の確認
IKOMA Nature Walk(Facebookページ)より
歩きながらのよそ見は、スマホだけでなくスマウォでもご法度。歩行中に画面を表示しないのは、むしろ好都合です。立ち止まって「手首をクィ」と手前に向けると、サクッと「現在地、方位、現在時刻」を小さな画面に凝縮して表示。進行方向をルート上で確認できるので、道迷いを未然に防ぎます。熟練を要する「地図読み」は必要なくなりました。※紙の地図と磁石コンパスは、お守りとしてザックに入れておきましょう。
Apple Watchを山歩き用にアレンジ
傷から守る一方、汗などの侵入により操作性に影響します。
純正より安いパチモン・ソロループ。装着感は良好です。
さすがにヤブ漕ぎでApple Watchは厳しかろう。豊富なアクセサリー群から、山歩き用カスタムな製品をチョイスしました。純正品よりも多少アレゲなのは覚悟なさってくださいね。
ヤマレコ・ウォッチに早変わり!
ver.3.57から各種のコンプリケーションを追加。アウトドア専用のスマートウォッチとして、Apple Watchを使えます。
文字盤(Watch Face)を自在にカスタマイズできるのは、Apple Watchの魅力です。用途に合わせて複数用意しましょう。
iPhone12 Proを山歩きで使う
ヤマレコ・アプリ(iOS版)最新版でお使いください。
山スマホにオススメの機種は、MIL-STD-810H準拠のSHARP製「AQUOS Senseシリーズ」であることに変わりません。Sense3の後継機としてSIMフリー版AQUOS Sense5Gの購入を予定していますが、*2)モノラル・スピーカーってことで、購入意欲が湧きません。しばらくの間は、Apple Watchに引きずられる形で、iPhone12 Proを山スマホとして使うしかないようです。
防水性能に問題なし
モチジュウもMagSafe対応。Lightningは不要。
MagSafe充電器の購入で、Lightning端子をキャップでシールドしました。砂埃の侵入も気になりません。iPhone7シリーズから始まった防水対応。同機種は、最も修理依頼が多いことで知られています。しかし、iPhone12シリーズへ至るまでに、信頼性をかなり改善しているとのことで、防水ケース等の雨対策は必要ありません。
ヤマレコで軌跡データ(GPX)を記録
さて、iPhone12 Proを山へ連れ出すとして、軌跡データの記録をどうするかで悩みました。過去の山行記録はすべて山旅ロガー(Androidのみ対応)で行っています。複数試した結果、オフライン利用のできる「らくルート」に魅力を感じて、ヤマレコ・アプリに決定。
らくルートで生駒山系のルートを登録
大阪府民の森むろいけ、くろんど両園地のマップを確認しました。早速、Apple Watch版ヤマレコに登録 山歩きが楽しみ!https://t.co/I3Y8p91A25 pic.twitter.com/TNhjzwtL6a
— love_ikoma_toyo (@juantonto) November 5, 2020
素早い「らくルート」追加の対応に驚きました。ヤマレコのエリア分類にない「生駒山系」の地図に、一般的なハイキングルートを追記できました。「らくルート」に表示される「みんなの軌跡」は、*3)「デジタル踏み跡」として道迷いの防止だけでなく、急な予定変更にも大いに役立つことでしょう。
オフライン利用可能
iPhoneだけでなく、Apple Watchにも地図データを転送して、電波の届かない「圏外」で地図と位置情報を確認できます。32GBストレージのApple Watch SEでは、全国の地図を転送しても余りあることでしょう。
iPhone12 Proの新機能を山歩きで試す
ここからはオマケです。山で使うことを想像してなかったiPhone12 Proの新機能(LiDAR ScannerとApple ProRAW)を試してみました。
LiDAR ScannerでAR撮影
物体(オブジェクト)との距離を正確に測定して、リアルな画像をARで記録できます。山中に残された石造遺物の撮影に威力を発揮するでしょう。山歩きの楽しみに、メニューが一つ加わった感じです。
iPhoneでRAW撮影
Apple純正のカメラ・アプリに「RAWモード」の機能を追加。トコトン編集してオリジナルの作品を作り上げたい向きに最適。山歩きでは、ここぞと言う場所で使ってます。※ファイルサイズ1枚当たり約25-30MBを消費。
現像 -Workflow-
- 撮影データをAirDropでMacBook Airへ転送
- Lightroom Classicで現像~編集(JPG形式)
- Pixel4aに専用フォルダを作ってエクスポート
- Google Photoへ高画質アップロード
- iPhoneその他でシェア
詳しく知りたい方は、コメント欄でお問い合わせください。
落下対策にストラップはマストアイテム!
ほしいものリストにずっと入ってる高価なケース
Pixel4a同様にストラップ使用はマストです。特に山歩きでは紛失防止に役立つでしょう。落下したスマホをズルズルと手繰り寄せた経験は、一度や二度じゃありませんよ。山で落とせば、見つけるのが大変です。
次回予告はスーパー地形アプリ
山歩きに新たな楽しみを付け加えてくれたiPhone12 ProとApple Watch SEに感謝。そのきっかけはヤマレコのApple Watch対応でした。その後、カシミール3Dでお馴染み「スーパー地形」アプリもApple Watchに対応しています。 現在、試せぬままにリハビリの日々を送っていますけれど、必ず復活してレビューを予定。少々お待ちを!
注釈
- *1)山スマホのススメ・2020年バージョン
- *2)前機種と比べて音量、音質共に向上していると云う
- *3)ヤマレコ・ユーザーの公開データを抽出したもの