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RICOH THETA Z1の使い方 How-tos後編「DualFisheye プラグイン」

投稿日:2020年4月26日 更新日:

RICOH THETAプラグインストア(PLUG-IN STORE)のオープンは、2018年7月23日のことでした。現在ではTHETA Vに加えてTHETA Z1にも、さまざま機能を追加できるようになっています。※インストール方法など、基礎的な知識はTHETAラボの記事を参照してください。


プラグインのインストールにはPC用基本アプリケーション「RICOH THETA」(バージョン3.6.0以上)が必要です。ダウンロードはこちら

この記事では、THETA Z1を前提に「DualFisheyeプラグイン(=以下、「DFE」と略します)の注目機能を紹介いたします。機能全般については、Yuqing Guo氏のYouTube動画を参考にしましょう。

下に続く。。。

世界的に大注目!カメラ内部でHDR合成ってホントなの?

 

DFEプラグインのTHETA Z1対応は、昨年(2019)末12月のことでした。以来、バージョンアップを重ねる度にテスト撮影を実行し、撮影データの現像と公開に大忙しの日々を送っています。

SingleDNG(f/5.6 ISO80)

Yummy Z1 Stitcher for iOS f5.6 ISO80 1/20 ss #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

HDR-DNG(f/5.6)

HDR-DNG -/+4 Mode Theta Z1 #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA

JR和歌山駅にて撮影(2020.04.05)

SingleDNG(一枚のDNG画像から現像)とHDR-DNGを比べると一目瞭然。ベンチ上のランチセットは、どちらも綺麗に写っています。しかし、向かい側のプラットフォームはどうでしょうか? HDR-DNGでは、白飛びを抑えて綺麗な青空も見えます。

Single DNG vs HDR DNG

THETA Z1発売前のテスター参加時、関係者の方への最初の質問は「RAWでHDRできますか」でした。答えは「ノー」 HDRモードとRAW撮影は排他仕様となっています。一発撮りでHDRに迫るダイナミックレンジを実現したSingle DNGは、THETA Z1の大きな魅力の一つです。

HDR-DNG Modeの登場で話題沸騰

撮影日; 2020.04.09 DFE HDR-DNG +/-4

THETA Z1向けに追加された新しい機能「HDR-DNG Mode」は、多くのフォトグラファーを魅了しました。明るさを変えてブラケット撮影した画像を、編集ソフトで合成する「クラシカルHDR」は、マシンパワーと膨大なストレージ容量を要求します。一方で、DFEプラグインのHDR-DNG Modeでは、THETA Z1の内部で合成処理を行うので、編集作業の効率化にも大きく貢献しています。

Youqing Guoさんの動画では、DFEプラグインのワークフローについて、全てを語りつくされています。当ブログでは、英語嫌いなあなたに向け、HDR-DNG Mode一つに絞って解説したいと思います。

DFEプラグインの使い方

How to use

最初に、本体Modeボタンでの「通常/プラグイン切替」(チョイ長押し)をマスターしましょう。「長押し」と言ってもほんの少しだけ「押し込む」と言った感じ。押し続けるとエラーの原因となる場合があります。苦手な方は基本アプリからの起動をお試しください。※THETA Z1では、三つのプラグインを登録できるようになりました。「MODE(長押し)→MODE(選択)→シャッター(確定)」の順で操作します。同時に複数のプラグインを起動できません。

Wifi リモート・アプリ(Android版)

Wifi Android app

DFEプラグインの各種設定は、THETA Z1本体のボタン操作により行えます。10秒タイマーを利用した撮影よりも、進捗状況をリモート・アプリのステータス表示部で追認する方が、より確実に撮影者の写り込みを回避できます。シャッター音の届かない物陰に隠れて撮影する場合に、とても重宝する機能です。アプリの独自機能として、F値(f/2.1,f/3.5,f/5.6)をメカニカルに変更できるようになりました。他社の追随を許さない先進機能として、THETA Z1の大きなアドバンテージであり、DFEプラグインにおいても、利用可能とした功績は大きいと言えるでしょう。

プロ写真家・村田一郎氏の言葉は重い。
「絞れば手前からピントが合う」(Larger f number likes closer objects.)
YouTube動画2分23秒より)

2020.02.14に開催されたTHETA公式オフ会[大阪会場]に参加し、技術者の方と直接お話できました。はっきり「…合う」と明言された上で、f/3.5を中心基準として設計しているとのこと。即ち、近接オブジェクトを中心に撮影したい場合は、f5.6を選択するのがベター。遠景中心であれば、f2.1を選択すると言った具合です。実際の撮影では、そのどちらでもない場合が多い。f/3.5固定で撮影したい理由は、ここにあるのです。

DualFisheye Plugin Remote
開発元:hirota41
¥2,090
posted withアプリーチ

iOS版についても開発中とのこと。iPhone Loverな方は、もう少しの辛抱です。諸般の事情により、iOS版開発は中止となりました。

HDR-DNG Modeの機能

Shooting Mode Detail

プラグイン・ページの説明によると「16bit相当のHDRイメージをDNGフォーマットで生成する」とあります。また、「マルチショット画像をカメラ内でスタッキング(積み上げ)処理し、ファイルサイズは、通常よりも20%程度大きくなります。最大+/-4 Evの範囲でより広いダイナミックレンジを得られる」とも。ナンノコッチャ?

解説

最大+/-4 Evとは、9段ブラケット(-4,-3,-2,-1,0,+1,+2,+3,+4)の連続撮影を意味し、カメラ内で一枚のDNGフォーマットの画像に生成する処理を行います。Ev0画像をリファレンスとした積み上げ方式(In Camera stacking)により、被写体に動きのある屋外での撮影も可能です。THETA基本アプリのブラケットモードより、スピーディーに撮影を完了できるのも大きな魅力。※手持ち撮影には対応していません。

HDR-DNG Modeで撮影したDNG画像

大阪駅スカイウォーク DFE HDR-DNG Mode +/-4

上掲のストリートビューは、HDR-DNG Mode +/-4(約23秒/1ショットあたりに2.5秒)で撮影しています。 晩冬の夕暮れ、日没直前の時間帯で、眼下の道路を走る車は止まっていません。プチ渋滞でゆっくりと流れているのです。

HDR-DNG Mode

撮影データは、R002xxxxx_hdr.dng(HDR-DNG)とR002xxxxx.dng(通常DNG)の二つをDCIM下のDUALFISHEYEフォルダに生成します。1ショットで約100MBを消費することに留意しましょう。
Nothing is perfect

スタッキングで発生する被写体の破綻など。

クラシカルHDRよりも、自由度の高い撮影手法を実現したHDR-DNGモード。しかし、この世に「魔法の杖」はありません。細部の破綻などは考慮すべき課題です。同時に出力されるEv0値のDNGファイルを活用して修正しましょう。
※DFE ver.2.9.0(2020.06.15/update)にて、実験的にMotion Detectionを「オン・オフ」するスイッチを実装されています。絶対「オフ」にしないようご注意ください。

HDR-DNGイメージをAdobe Lightroom Classicで現像する。

※Ricoh Theta Stitcher(ver.2.10.0) へのアップデートで、16bit Float DNGイメージのステッチに基本対応となりました。以下の記述及び回避策は、記録のため残しています。

“DCMI/DUALFISHEYE”フォルダに保存されたDNG画像

HDR-DNGファイルのショッキングな色に、最初はびっくりするカモ。HDR-DNGと通常DNGの2ファイルを扱う以外に、現像の手順は基本アプリで撮影したDNGと全く同じです。

*Official stitcher for Lightroom doesn’t accept this image.*

プラグインの説明欄には、RICOH社から提供されるTHETA Stitcherに非対応であるとコメントされています。確かに通常通りの手順では「このDNGは対応していません」と表示され、現像後のステッチ操作は不可能です。※現像とステッチは別物。ステッチには「回避策」が必須なのです。

“Not compatible error”回避策

  • Step.1
  • Lightroom Classicのインポート画面

    HDR-DNGとペアの通常DNGを同一のフォルダ置き、HDR-DNGのみをLightroom Classicにインポートします。(通常DNGは、ステッチの際に参照ファイルとして必要不可欠)

  • Step.2
  • Lightroom Classic Metadataパネル

    ファイル名R00xxxxx_hdr.dngの内、“_hdr”を”_2″に書き換えます。この操作を必ずLightroomのMetadataパネルで行ってください。Windows Explorer や mac Finder で行うと必ず失敗します。

  • Step.3
  • Lightroom Classic 基本編集パネル

    Lightroomの基本パネルで「自動」を一発押下。露出を3.5-4.5で調整するなど、好みに応じて編集しましょう。デフォルトでカラーノイズ+25になっていることに注意してください。傾向として通常(SingleDNG)よりも「ノイズ少なめ・フリンジ多め」です。
    ※上記の回避策(rename)は、RTS ver.2.00.0にて有効であることを確認済み

    まだまだ進化するDualFisheyeプラグイン(DFE)

    最新版へのアップデートは、プラグインのページからご確認の上、上書きインストールしてください。

     

    有料版リモート・アプリを購入する目的は、将来の発展に向けて忌憚なくフィードバックするためです。casual userを排除したいという開発者さんの考えにも賛同しています。iOS版リモート・アプリのリリースを期待しましょう。個人的には、プレビュー・ウィンドウが欲しいなと思う今日この頃。※F値の変更、GPSデータの埋め込み、Motion Detection等、リモートアプリを必要とする機能にご注目。

    発売以来!RTS ver.2.00.0アップデート

    カメラ写り込み軽減を「オン・オフ」比較しました。底面部だけを見る限り「オン」の方が優れているように見える。しかし、周辺部に修正困難な「ズレ」を生じる。とても厄介なヤツ。

    RTS ver.2.00.0

     

    ウィンドウサイズを自由自在に変更可能

    RTSとは、Ricoh Theta Stitcherの略です。DFEで撮影した画像を一枚の360°パノラマに仕上げるためには、必須の公式ソフトウェア。THETA Z1ユーザーにとって、待望のアップデートであることは、間違いありません。しかし、次の二項目については「はぁ?」でしょ。リコーさん、声を聞く相手を間違ってませんか? いつも、十分聞いてくださってます。

    1. 複数枚の画像を一括処理できるようになりました。
    2. カメラ写り込み軽減ON/OFFの切り替えが可能になりました。

    ※一括処理するぐらいだったら、JPG撮影でよくないか?
    ※DNGユーザーで写り込み軽減ONするようなアホいるのか?
    ※DFE愛好家にとって、ひと手間増えて大迷惑!

    今回の記事は着想から公開まで、何度も中断を余儀なくされました。今後も関連ソフトウェアの最新事情にご注意ください。マメなフィードバックは大切です。

    では、また。

    追記 2020.04.27

    CVR/ON OFFに関するボヤキが聞こえたのか、「ひと手間増える」問題の解決策が見つかりました。一度もこの機能を使ったことのない「へそ曲がり」ユーザーへの天罰だったようです。一度使って撮影すると、RTS ver.2.00.0の読み込みで、ON/OFFを反映することを確認しました。
    • B!