2022年6月17日、一眼カメラ用の交換レンズで知られる「ケンコー・トキナー」さんから、APS-C用のフィシュアイレンズ(Tokina SZ 8mm f2.8 FISH-EYE MF)が発売されました。
当ブログでは、発売前日に思い立って予約注文。魚眼レンズの「国内生産」は珍しい。ある意味「貴重品」です。その実力をSONY Vlogcam ZV-E10にて試しました。このレンズは、”Best lens for SNS and vlogging“と、公式に謳われています。
Tokina Global Channel; 2022.2.18
絞りとフォーカスのヘリコイドは、動画撮影に適した「クリックレス仕様」となっています。
下に続く。。。
PTGui Pro v12.12(13) レンズプロファイルをデータベースに登録完了!
筆者は、360°パノラマ撮影に魚眼レンズを使っています。
E-mountに合う鏡筒のサイズ(52mm)、取り回しの楽な重量(280g)、現在、使用中のTTArtian 7.5mm f2.0より魅力的です。問題は画質です。気になるのは、逆光でのレンズフレアと周辺部で発生するフリンジ。
購入してから暑い日が続いて、満足なテスト撮影を行えてません。この世に完璧なモノや魔法の杖は存在しない。ファースト・インプレッションとして、抜けの良いクリアな描写で気に入りました。前述の懸念点は、今のところ許容範囲です。
SONY VLOGCAM ZV-E10 受注再開!2022.06.24
SONY ZV-E10は、2021年9月17日に発売。3ヶ月もしないうちに、受注停止となっていました。2022年6月24日、待望の再販開始を発表されて間もなく、NIKONさんからZV-E10に対抗する機種「Z30」のリリース決定。(2022年8月4日発売開始)「EVFなし、ボディ内手振れ補正無し」の一眼ミラーレス(APS-C)に仲間入り。高画質で本格的な「360°写真(Equirectangular)」を撮影したいモノにとって、悩ましい時代と言えるでしょう。
NIKONが注力するZマウントの弱点は、対応するレンズの少なさです。しかし、魚眼レンズの選択肢は、どのカメラにとっても限定的。ZV-E10よりも広いダイナミックレンジを実現するなら、追加購入を真剣に検討せねばなるまい。なんでやねん!
PTGui Pro ver.12.13でスティッチする方法
「PTGui(ぴぃーりぃーぐぅーいぃ)でスティッチ」とは、一眼ミラーレスと魚眼レンズで撮影した画像を繋ぎ合わせる処理のことで、プロのパノラマ・フォトグラファーのほとんどが使っている定番のソフトウェアです。
https://juantonto.official.jp/ptgui12-release/
PTGuiは、THETA Z1で撮影した画像にもいち早く対応し、ほとんどのカメラやレンズを網羅しています。新製品を購入した場合は、筆者のように撮影サンプルを提供すると、すぐに対応なさいます。
パノラマ雲台 Nishinosawa Panohead
360°全天球写真の撮影は、一般的な横長のパノラマ画像と異なり、NPP(No Parallax Point)を無視できません。筆者は、西ノ沢工房さんに設計製作を依頼し、カメラとレンズに応じた専用のパノラマ雲台を使用。現在使用中のPanoheadは、Tokina SZ 8mm f2.8用に設計されていませんが、NPPの誤差は、許容範囲にあると推測。最新のPTGuiで問題なくスティッチできています。
Nishinosawa Panohead
撮影 Shooting
36°を刻むクリックストップを一つ飛ばしで、水平5方向と天頂(真上)天底(真下)の7枚を撮影。床の模様など、状況に応じて三脚下のオフセット撮影を行います。
HDR合成と現像
ブラケット撮影した各RAW画像(Ev-/+2.0)を、Lightroom Classicにインポートして、LR EnfuseにてHDR合成を行います。Lightroomの基本機能よりもナチュラルな色合いに満足。同様な外部ツール「SNS HDR」も、パノラマ・フォトグラファーから多くの支持を得ています。当ブログでも、いずれ入手して試す所存。こう!ご期待。
スティッチの手順
HDR合成で現像した画像(.tiff 16Bit)をPTGuiに読み込みます。次に、レンズプロファイルをデータベースから選択し、「Align Images」を一発押下。大まかな繋ぎ合わせをPanorama Editor画面に表示出来たら一安心。
底面部のマスク処理
天底(真下)の画像には、不要な三脚と雲台のアームが写っています。この時点では、全部を消せませんが、アーム部分に赤マスクを設定して、スティッチ対象から除外しておきます。
コントロールポイント(CP)の最適化
「Align Images」の自動処理により設定されたCP(Control Points)をチェックします。。CP Tableをソートして、隣接する画像間で距離の長いCPや不足のCPを補うことで、より正確な繋ぎ合わせの結果を得られます。(経験とカンがモノを言う作業)
※Shiftキーを押しながらドラッグで範囲指定すると吉。
Optimize 仕上げ
再度、自動処理で全体の最適化を行います。結果に「very good」と出たら、ほぼ98%のスティッチ処理は終了です。
重箱の隅を突け!
油断大敵。THETAなどの全天球カメラで実現できない高画質を目指しましょう。
Panorama Editor画面でルーペ・カーソルを操作し、スティッチ・ライン(つなぎ目)を順に追いながらチェックします。わずかなズレも見逃してはダメ!
Errro訂正
- CPの見直しと追加
- マスク処理でスティッチ・ラインの変更を促す
- Photoshopで修正
※追いきれない「ズレ」を早めに見切るのもコツ。
三脚消し
オフセット撮影した底面部の画像を読み込み、画像間(7,8)にCPを設定します。目印を確認しながら10カ所程度あればオーケー。Optimizeタブで調整して、距離1.0以下に設定すると、見事に三脚は消えてくれました。
砂地や単色の床など、底面部の地模様によっては、Photoshopで「一発消し」の方が手っ取り早い。
結論;Conclusion
いずみホール前広場(日没直後)kuula: https://kuula.co/post/N6nM8
Googleストリートビューに公開した結果、国産の魚眼レンズ「Tokina SZ 8mm f2.8」を、SONY ZV-E10のメインに据えたいと考えています。パノラマ雲台をさらに軽量化できるので、取り回しのトータルバランスも向上できるでしょう。しかしながら、NIKONから発売されるZ30も気になる存在。
NIKON Z30は、360°パノラマ撮影にも向いた機種と考えます。ZV-E10と良い勝負になるでしょう。楽しみです。
では、また。