前回の記事を改訂します。速報性を重視するあまりに、作例の準備を急ぎ過ぎました。しかも、タイトルに間違いあり。(修正しました)結果的に「ストリートビュー・スタジオ(Streetview Studio)」のアドバンテージと魅力を十分にお伝えできていませんでした。その反省を踏まえて、実際のワークフローとともに再公開する次第です。
グーグルマップに公開されているストリートビューは、三つの種類に分類されています。ここで取り上げるのは、青い線で表示される「ストリートビュー」です。いずれの場合も、ユーザーによる公開(UGC=User Generated Contents)を可能とし、グーグルさんの撮影車が来ていない未撮影の道をバーチャル化! マップユーザーの利便性向上に寄与できるのです。スゴイでしょ。
下に続く。。。
動画ファイルとブルーラインに特化したウェブツール
ストリートビュー・スタジオは、無料で使えるウェブ・ツールです。パソコンのブラウザを通じて使用可能。面倒なアプリケーションのインストールも不要です。人物の顔とナンバープレートのボカシ、画像間のシーケンシャルな結合を自動的に処理し、グーグルマップ上にブルーラインとして公開します。
ストリートビュー・スタジオとは?
一定の速度で移動しながら360°動画を撮影し、移動中の位置情報(軌跡ログ)を*注)GNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバーで記録する。
*注) 一般的にGPSと呼ばれる。GPS(Global positioning System)とは、米軍により運用されている衛星測位システムの名称。今は、GPSに加えて世界各国のシステム(GLONASS、Galileo、Beidou等)を利用できる。
軌跡ログの取得方法
- Google CAMM trackに対応したカメラで撮影
- カメラメーカー独自の形式で記録したデータをエクスポート
- スマホのアプリや専用機(ガーミン等)で同時記録
CAMM(CAmera Motion Metadata)とは、カメラに装備されているジャイロセンサー、加速度センサー、磁気センサーと位置情報を動画内のトラックに記録する方式です。詳しくは、Streetview Publish APIにそのスペックを公開されています。この形式で記録できるカメラの動画ファイルは、撮って出し状態でストリートビュー・スタジオから、グーグルのサーバーへとアップロード可能。そのため、カメラから直アップできる超簡単な「ワークフロー」を実現しているのです。
活用事例1 / Workflow1
THETA Z1で動画を撮影すると、その最大画質は4K相当(3,840 x 1,920)に限定されてしまいます。さらに、軌跡ログの取得に「山旅ロガー」などの外部アプリを必要とする。これでは、フラッグシップ機の実力を十分に活かすことはできませぬ。
初期に発生した“Tilted image issue” ひょこいがんだ(=「変に歪んだ(傾いた)」という意味の河内弁)画像の問題は、いつの間にか解決していました。この問題は、ブルーラインが長年抱えていた一種の「病気」でしたが、ストリートビュー・スタジオの登場で治癒されたのかもしれませんね。
活用事例2 / Workflow2
残念ながら8月末の再撮影は「イマイチ」な画質でした。やはり、天候が良くないと光量不足となり、シャッタースピードは長くなります。「手持ちHDR」でも手振れを抑えるのは難しい。そこで、2020年秋に撮影し、ブルーライン作成に失敗した画像に着目しました。
撮影日:2020.11.14 再公開:2022.09.01
ストリートビュー・スタジオを通じて「青点から青線」への再公開に成功。現時点で、パソコン版の表示に難ありかもです。しかし、再公開後も撮影日を維持されるのはグッドです。
撮影・編集・公開 / Ricoh Theta Z1
Converted 360 images with JPG2VID
2020年の「事例2」で撮影した画像数は50枚でした。Dean Zwikel氏のUL2GSVツール群のJPG2VIDを使って動画ファイル(.mp4)にコンバート。このツールは、画像内のExif情報に埋め込まれている位置情報を.gpxフォーマットのファイルにエクスポートしてくれます。GUIはありませんが、シンプルで使えるツールです。
実際の公開は、池の中心からぐるっと囲むように、単純なシーケンスに並び変えと間引きを行いました。JPG2VIDツールで準備した.mp4と.gpxのセットでアップロードするだけの簡単ワークフローです。
編集 / editting
スマホ(iPhone)とZ1をWi-Fi + Bluetooth接続することで、撮影した静止画にスマホから受け取った位置情報をExifに記録します。
2022年春に新発売されたTHETA Xでは、カメラ内にGNSSセンサーを搭載し、GPSに加えて日本の「みちびき」準天頂衛星システムに対応します。WAAS(米国)、EGNOS(欧州)、MSAS(日本)、GAGAN(インド)の各システムは、航空機での精度向上を目的としており、これらをも活用できるTHETA Xには、さらに高精度な位置情報の記録を期待できますね。
※A-GPS(Assisted GPS)は、スマホ黎明期に活躍しました。しかし、今や。。。
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軌跡 / Track log
JPG2VIDを使うメリットは、静止画内に埋め込まれた一連の位置情報から、1Hzの軌跡ログとして.gpxファイルを生成できることです。動画と軌跡ログを別々に作成すると、撮影時刻と軌跡ログの時刻を同期させねばなりません。両者のタイミングに不一致があると、エラーの原因となってブルーラインの作成を難しくするでしょう。
事例1のiPhoneで取得した位置情報は、お世辞にも正確とは言えませんでした。滑らかなブルーラインを期待する向きは、JPG2VIDで軌跡ログを取り出す前に、パノラマ作成の定番ソフトPano2VRで修正しておくと吉かもしれません。クオリティを追求するユーザーにとって、マストバイなデスクトップ・ソフトウェア。しかし、無料ではありませんよ。導入に際しては、慎重にお願いします。
公開 / Uploading…
アップロード完了からサーバー上での処理が始まり、約48時間程度を要して、マップ上にブルーラインを形成。公開初期は、縮尺によって表示・非表示を繰り返します。安定して閲覧できるまで、根気よく待ちましょう。また、エラーが出て、プロセスを完了できない場合は、画像の順序や位置情報などを再検討してください。
結論;Conclusion
グーグルマップのストリートビュー空白地帯は、都市部においても存在しています。Google I/O 2022で発表されたImmersive Viewをくまなく実現するには、さらなるユーザーの投稿(Contributions)を必要とするでしょう。
撮影場所:立石越(生駒縦走歩道)
Ikoma Nature Walkの取り組みとして、ハイキング道のバーチャル化に再着手することを決断しました。ストリートビュー・スタジオを活用することで、確実にブルーラインとして公開できるからです。
ご期待ください。では、また。