美術館や博物館などの公共施設内部で撮影の許可を得るのは困難を極めます。いや、正直「無理だろう」と思い込んでいました。実際に訪問してみると「館内撮影可能」だと言う。これには大変驚ロイターのであります。切符売り場で我が目を疑いながら、1,500円をお支払いしました。
ふぁ:「撮影してもいいんですか?コレですよコレ」
(切符売り場で係の人にシータを見せて再確認)
受付:「禁止場所以外は大丈夫ですよ」
《以下に続く》
大阪市立東洋陶磁美術館をRICOH THETA Vで撮影する
※公開中の画像に不具合を確認したので、2019.03.08再公開しました。
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まさかの展開で館内撮影を実現しました。当日はフランス陶磁の特別展示があり、セーブルやリモージュなど、美しい陶磁器を目的に多数の方が来館されていました。全館を撮影するワケにはいきません。絞り込むとしたら一ヶ所のみ。かつて「空の城」(著者:松本清張)で紹介された(?)「安宅コレクション」一択なのですよ。
「安宅コレクション」とは?
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カナダの石油精製プロジェクトに失敗した「安宅産業破綻」の経済事件が発覚したのは1975年のことでした。その後、1977年に紆余曲折の末、伊藤忠商事に吸収合併されて終息しています。
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世の中的には大きな話題だったようです。しかし、筆者がこの事件を知ったのは、NHKのテレビドラマ「ザ・商社」でした。そこで繰り返し出てくる「江坂(安宅)コレクション」というセリフが耳に残っています。そしてドラマ内で語られる江坂要三(安宅英一氏)の美を追求する姿勢に感銘したのです。
美の猟犬 – 安宅英一
(王墓から盗掘されたとされる一角獣の陶器を目の前にして)
「人に認められたいという自分(私心)を捨てて制作してこそ価値が生まれる。この作品は、本来世に出るものではない。だからこそ美しい。最近の人は「ライフワークに打ち込む」とか言って、大作に取り組んだりするが、どれこれも『箸にも棒にも』掛からんものばっかりや」
ザ・商社の1シーンより、記憶を基に再現してみました。実際は先代片岡仁左衛門さんのはんなりとした上品な大阪弁です。
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安宅英一氏の人となりについては、氏のもとで「安宅コレクション」の収集に携わったとされる伊藤郁太郎氏の著書を参考になさってください。ただし、今では中古本しか手に入らないみたいですが。。。
ストリートビューで陶磁器を鑑賞する
前置きが長くなりました。それでは、作品のいくつかを見ていきましょう。安宅コレクションは主に2F展示室”G”と”H”に常設展示されています。(全てではありません)
Caption; 重要文化財 緑釉黒花 牡丹文 瓶
12世紀、中国「金」時代の製品とされる瓶(へい)で、世界的な名品の一つとされています。事情により、やや斜めからの撮影となっています。
Caption; 重要文化財 木葉天目 茶碗
12世紀、中国「南宋」時代の茶碗。英語では”Tea Bowl”と呼ぶらしい。ドラマ「ザ・商社」のラストで美術品の茶碗で即席ラーメンを食べるシーンがありました。当方も、これで木の葉丼を食べて見たいです。桑の葉っぱを用いているとのこと。
Caption; 重要文化財 青花 蓮池魚藻文 壺
中央の魚が特徴的な壺です。魚はたくさんの卵を産むことから「子孫繁栄」を表すのだとか。お正月に食べる「数の子」と共通の発想ですね。14世紀、中国「元」時代製作。
Caption; 重要文化財 法花 花鳥文 壺
大変美しく輝く大型の壺、この展示室内で最も目立つ存在であることは、周囲の様子からお分かりいただけると思います。時間が許せば、いつまでも眺めていたい。そんな気にさせますね。15世紀、中国「明」時代製作。
撮影秘話
館内撮影OKであっても、三脚や自撮り棒などを使用できません。手持ち撮影を「ヨシ」としない性格なので、一度は撮影を諦めかけました。その時、( ゚д゚)ハッ!と思いついたのがなんとスマホ・クリップだったのです。
※ホントはこれもダメだったようですが、当方の熱意と態度に特別許可くださいました。
ソファ&テーブルを中心に移動
Caption; テーブル&ソファから展示を眺める
展示室”G”は明るい照明と広々とした展示室が特徴です。観賞に疲れた場合は、ソファで休憩しましょう。ストリートビューの矢印が歯車状態になっており、好きな方向へバーチャル移動を可能とします。しかし、意図した方向に移動できるとは限りません。普段は絶対にしない編集方法です。ここでは、敢えてこのようにしました。一方で、隣の展示室”H”との接続は、Elevator Widgetを使用しています。
ストリートビュー・ギャラリー
展示室”H”のストリートビュー撮影は5枚となっています。照明を落とした暗い室内に5品目を展示しており、それぞれ正面から撮影しました。さらに隣の部屋にも「安宅コレクション」の作品を展示してます。残念ながら、今回の撮影はココまでです。
サムネール画像をクリック(タップ)すると、ウィンドウ内で表示されます。順番に閲覧したい場合は、ブラウザの「戻る」ボタン等をご利用ください。
パソコン等でポップアップ表示の場合は、余白欄をクリックすると戻ります。
※iPhone/iPadで閲覧の方は、最新のiOSにアップデートしてください。
ARテクノロジーがスゴイことになってるGoogle Arts & Culture
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ここでGoogle謹製のアプリ”Google Arts & Culture“を紹介します。例によって無料アプリですので、騙されたとしても実害はありません。それどころか、ここ最近のアップデートで驚くような進化を遂げたのです。
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Google Arts & Cultureは、ウェブ版、アプリ版、そしてiOSとAndroidでほとんど変わりなく楽しめるサービスです。何と言っても実寸大で世界の絵画、彫刻、陶器等々、素晴らしいアート作品の数々を自宅に居ながらにして楽しめます。※アプリを使うと、新しいコレクションやイベントなどを通知してくれます。
Caption; 大原美術館”High Noon in the Alps” Giovanni Segantini
大原美術館など一部のミュージアムでは、実寸大の作品画像だけでなく、アプリから直接ストリートビューを閲覧することも可能。さらに詳細な作品の解説を手軽に読めるという素晴らしいアプリなのです。
作品に表示されるキューブ・アイコンをタップすると、足元に白いドットが複数現れ、その一つをタップすると、な、な~んと! 目の前に作品が等身大で出現したゾ。これは、美術ファンならずとも仰天すること間違いなし。
※今回撮影のストリート・ビューをGoogle Arts & Cultureの大阪市立東洋陶磁美術館へリンクして頂けるようにフィードバックしました。
では、また。